研究課題/領域番号 |
17K18543
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
竹田 恒規 北星学園大学, 経済学部, 講師 (40347745)
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研究分担者 |
足立 清人 北星学園大学, 経済学部, 教授 (80405620)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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キーワード | 災害復興法学 / 防災集団移転促進事業 / 高台移転事業 / 行政法学 / 民法学 / 北海道南西沖地震 / 防災 / 減災 |
研究実績の概要 |
コロナ禍による延長を経て、完了年度となった。この間、北海道南西沖地震とそれに伴う津波により被害を被った、奥尻島青苗地区の復興の過程を跡づける作業を行ってきた。 2019年7月には、復興業務の任にあたった奥尻町役場や北海道庁の元職員の方々をお招きし、シンポジウムを開催した。このシンポジウムの基調報告と質疑応答の記録は、所属機関の紀要にて公表している。現在、それを踏まえた行政法学や民法学の観点からの検討を進めている。 また、復興業務において重要な要素である不動産(主として土地)に関し、抵当権の及ぶ目的物の範囲や安全配慮義務についての論考を公表することができた(特に後者に関しては、津波被害に関する訴訟の検討とともに、コロナ禍における社会の混乱を背景にした契約上の安全配慮義務について広く検討している)。さらに、相続法の分野についても論考を公表することができた。 行政法学の観点からの検討は、順調に進んでいるとは言えない。反省とともに、越えなければならないハードルを2点指摘する。第1に、行政計画とその立案に関する意思形成のあり方についてモデルとなる先行業績が少なく、そもそもの「理論的ものさし」をを構築することに難渋している。第2に、従来の行政法学は、行政主体・行政機関による公権力の行使のあり方(権力的要素)に焦点を合わせ、その周辺領域として非権力的な行政活動を扱ってきた。他方で、実際の復興事業では、権力的行政活動がほとんど登場せず、住民・関係者との交渉・折衝を通じて合意形成を行ってきた。旧来の行政法学にとりつかれた「古い頭」でどのように切り込むか、切り口を見いだせていない。とはいえ、この課題は「宝物」であり、なんとか形にしたいと考えている。 なお、現地調査などで収集した1次資料・史料につき、多くの方がアクセスできる形でアーカイブ化を行うことも重要である。引き続きその作業の進めたい。
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