研究課題/領域番号 |
17K18548
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河野 勝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70306489)
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研究分担者 |
谷澤 正嗣 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20267454)
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 政治理論 / 自由 / テキスト分析 / ポピュラー音楽 / 北米 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、北米で親しまれるポピュラー音楽の中で、自由がどのように表現されてきたかを分析することを通して、この概念が一般の人々の日常の生活の中でどのように受容され発展してきたかを実証的に跡付けることである。本研究の計画は、データセット構築、テクスト分析、ケーススタディという三つの柱によって構成される。データセット構築がほぼ完成したので、今年度はテクスト分析の手法を用いて、様々な角度からfreeおよびfreedomという言葉の表出のパターンを検証した。幸いなことに、研究協力者であるハワイ大学のSun-Ki Chai氏が、短い間ではあったが早稲田大学に訪問研究者として滞在したので、彼から極めて的確なアドバイスを受けることができた。そのアドバイスに従い、1)一般的なシソーラス辞典(“Thesaurus.com” )を用いた分析、および2)心理学者たちの間でよく利用されているテキスト分析のソフトウェアである LIWC (Linguistic Inquiry and Word Count)を用いた分析を、それぞれすすめた。また、ケーススタディのための北米での音楽関係者に対するインタヴューもニューヨークで行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の報告書で報告した通り、テキストデータを作成する上で、マニュアル操作でしか修正できない多くの問題に直面したことから、データセットの構築が遅れた。その遅れの影響が残っいたが、夏頃までにデータセット構築を終わらせることができたので、年度後半には分析作業に取りかかることができた。その第一弾の成果として、2019年9月に、政治学のテキスト分析に関わる大きな国際学会(POLTEXT)で報告した。現在、その論文を改定する作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
テキスト分析をさらに精緻に進め、どのような先行研究と関連づけて研究成果をフレーミングして公刊すべきかを、具体的に考えていく。2019年9月に、国際学会(POLTEXT)で報告した論文を改定する作業を進め、学術雑誌に投稿することを予定している。また、北米の音楽関係者やストリートミュージシャンに対して行ったインタヴューのデータが、未整理であるので、それを体系化して分析するとともに、特定の楽曲についてのケーススタディも同時に進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に、当初雇用することを予定していたリサーチアシスタントが、学振特別研究員となったので代役を立てざるをえず、雇用開始時期が遅れたことにより、またその代役の雇用時間が限られたことによって、人件費の支出が大幅に少なくなった。また、当初予定していた北米の音楽関係者へのインタヴューについては、二時間を超える長いものを想定していたが、現地を訪れてみて、ストリートミュージシャンへのインタヴューは極めて短い時間ですることが現実的であると判断したので、その謝金を大幅に減額したことで、謝金の支出も少なくなった。また、これらに加えて、今年度は、コロナウィルスの感染拡大にともない、3月に計画していた海外出張をキャンセルせざるを得なくなった。
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