研究課題/領域番号 |
17K18550
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安部 由起子 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (50264742)
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研究分担者 |
高橋 新吾 広島修道大学, 経済科学部, 助教 (70445899)
獺口 浩一 琉球大学, 法文学部, 教授 (80398312)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 軍事基地 / 社会経済指標 / シングルマザー |
研究実績の概要 |
軍事基地周辺地域とそれ以外の地域の社会経済指標を考察するにあたり、本研究では、子どものいる世帯の中でのシングルマザー世帯の割合(以下、シングルマザー世帯割合)に注目した。2010年国勢調査の市町村レベルのデータの集計により、この割合が市町村間でどのように異なるのかをみたところ、沖縄県においては米軍基地の近隣の市町村において、この割合が高くなっていることが確認された。このことが時系列でどう変化したのかを調べるために、1980年の国勢調査のデータを、2010年の市町村の境界に集計し直す作業を行った(2000年代には多くの市町村合併があり、1980年と2010年の市町村別の統計数値を比較するには、合併前時点である1980年のデータを、合併後の市町村の境界に合わせて集計し直す必要がある)。1980年国勢調査の集計からも、沖縄県においては米軍基地の近隣の市町村でシングルマザー世帯割合が高いことが確認された。そして、基地周辺でこの割合が高い傾向は、1980年のほうが2010年よりも顕著である。この主な理由は、1980年から2010年の間に、基地周辺以外の市町村においてシングルマザー世帯割合が上昇したからである。比較の対象となる日本全体の傾向としては、(1)シングルマザー世帯割合は大都市部で低い、(2)地方部ではシングルマザー世帯割合が高い地域とそうでない地域がある、(3)シングルマザー世帯割合は、1980年から2010年までの間に上昇してきている、の3点が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市町村合併の以前のデータを、合併後の市町村の境界にあわせて集計する作業について、当初予想したよりも定型化されたプログラム等が存在していなかったため、その作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
基地周辺においてのシングルマザーの増え方はその他の地域と比較して高いのか低いのか、を明らかにする。さらに、シングルマザーの属性を、マイクロデータ等を利用して明らかにする。シングルマザーに育てられている子どもが増えていることは統計からわかっているが、シングルマザーやその世帯の属性がそれとともにどう変化しているのかは、必ずしもはっきりわかっていないので、その点を統計から明らかにする。今後は、1990年、2000年のデータを整備し、特にこの増加が大きかった時期があるのかどうか、そしてなぜその時期に一部の地域においてシングルマザー比率が上昇したのか、等の特徴を明らかにする。そして、沖縄の米軍基地周辺地域のシングルマザー世帯割合が、そのような全体の傾向の変化と比較してどう異なっているのかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国勢調査のオーダーメイド集計を行なうことを予定していたが、集計様式の調整に時間がかかり、また年度末近くにはオーダーメイド集計を受け付けていない期間があったこともあり、29年度中にオーダーメイド集計を発注することができなかった。
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