研究課題/領域番号 |
17K18553
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
S.J Turnbull 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90240621)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 圏論 / ゲーム圏 / モナド / 混合延長 / category theory / game category / monad / mixed extension |
研究実績の概要 |
2018年度では前年度に2人ゲームの分析を多人数ゲームに一般化した。ゲーム圏には2種類がある。区別は単調性の定義によるものである。一方、功利的ゲーム圏では全プレーヤーの戦略変更によりドメーンであるプレーヤーの報酬が増えると、イメージゲームでも報酬が増える単調性を満たす。一方、戦略的ゲーム圏では、あるプレーヤーの戦略変更(他のプレーヤーに変更なし)によりドメーンゲームでこのプレーヤーの報酬が増えれば、イメージゲームでも報酬が増える単調性を満たす。(前者は後者の部分圏であるが充満部分圏ではない。)2人ゲームに限る場合、プレーヤーの写像は考えなくても構わないが、m-人ゲームからn-人ゲームなら問題が生じる。つまり、m < n なら、コドメーンゲームのプレーヤーが余る。より深刻の問題は、m > n なら、ドメーンゲームのプレーヤーは複数が同じイメージプレーヤーに相当する。ゲーム論的に解釈しにくい。一応、プレーヤー集合に無限なダミープレヤーを加わると、両方の問題が圏論的に解決されるが、ゲーム論的な解釈はまだ検討中である。それぞれのヴァリエーションで終対象、始対象、その他の極限・余極限の存在についても調べている。検索した限り、こういうゲーム圏は未だ定義されていない様子で「A Category-Theoretic Framework for Analysis of Games」というワーキングペーパーにまとめて学会で発表する準備を進めている。 2019年度では混合延長関手とモナドを2人ゲームからn-人ゲームの一般化ができて「The Mixed Extension Functors in Game Categories」として報告準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
証明が思ったより難しくてちょっと遅くなった上、予告しなかったプレーヤー人数の違うゲームの間の射のゲーム論上解釈の問題に時間を使ったことがありました。
|
今後の研究の推進方策 |
「ゲーム圏」という枠組みの定義と理論的基盤ができ、申請に提案した課題に進む。1.行列ゲームを比較する射の集合を列挙するソフトウエアを開発する。古典的な理論的な区分と比較する。2.ゲーム論ではいくつかの代数的な定理がある(例:Kohlberg-Mertensの戦略安定性の証明が代数的位相幾何学を使用、Shannon-Milgromの代替的・補完的戦略が束論で証明)。これを圏論的な言葉で表現。3.上記の1と2の展開と考察に努める。 時間が残る場合には今まで気付いた新しい課題を考えている。4.混合延長関手は期待効用に依存する。非期待効用的な選好がいくつかあるが(例:Kahnemann-Tverskyのプロスペクト理論)、ゲーム分析にほとんど応用されていない。圏論によるゲームの分析をプロスペクトに一般化できる可能性を探る。5.プレーヤー数が違うゲームを含むゲーム圏の定義と関手の理論の展開に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
大部分は申請した時点まである国際大会の実施期間が3月中だったが、2017年から5月か6月で実施されるようになったので支出実施が1年度遅れるようになった。2019年の実施場所・期間が5月上旬に公開される次第にその大会に参加するか別なところで報告するかを決める予定である。一部は研究が遅れているために投稿手数料支出と支援するRAの報酬が2018年度から2019年度に移って支出する予定である。
|