本研究課題の目的は,協力ゲームなどの領域で培われた集団的意思決定の理論を,動学的マクロ経済学などの分析手法を使って,動学的枠組に拡張することであった.
本研究課題では以下の二つの成果を得た.(1)新型コロナ感染症の流行のように,不確実性を描写する確率分布が不明な状況では,意思決定主体は,ベイズの公式から得られる確率分布よりも多種多様な確率分布を想定すべきことを示した.(2)曖昧さ回避的な意思決定者間の効率的消費配分ルールの特徴を明らかした.さらに,Hansen-Jagannathan Bound(経済全体が直面する不確実性を忌避する度合いを表す尺度)が景気循環とは逆向きに変動することを示した.
|