研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では,写真帳,会社案内,労働者募集案内,絵葉書といった画像史料の分析を中心に据えて,明治期の綿紡績業での労働者募集をめぐる視覚メディアの利用が,募集人が介在することで労働者や農村社会に生じる不安や不信を取り払い,企業と労働者・農村社会との間の信頼関係の構築に寄与した点を明らかにした。他の分野に比べると,日本経済史・経営史での画像史料の利用は限られていたが,本研究では,様々な画像史料の収集・調査・分析を通じて,同分野での画像史料の利用の可能性を示した。
日本経済史・日本経営史
本研究では,明治期の綿紡績業での労働者募集をめぐる視覚メディアの利用によって,募集人が介在することで生じていた労働者・農村社会が抱える不安や不信を取り払い,企業と労働者・農村社会との間に信頼関係を構築しようとした挑戦的な試みがあったことを明らかにした。画像史料の調査・分析を中心に据えた本研究は,画像史料のもつ「ことば」や「イメージ」を丁寧に読み取り,新しい視角や論点の提示に努めようとしたことに学術的な意義があると考える。