研究課題/領域番号 |
17K18579
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 哲夫 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (30517206)
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研究分担者 |
木全 真理 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (00553570)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 要介護期 / 居住場所 / 介護サービス / 意思形成 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は、学問領域横断的な研究体制により、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスを可視化する。得た知見は、地域コミュニティでのアクションリサーチやフォーカス・グループ・ディスカッションといった介入型の調査研究によって実証し、テーマ型コミュニティによる意思形成モデルを構築する。 初年度となる平成29年度は、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスの可視化を目指して、国内外の先行研究・事例を収集・類型化し、研究フィールドの選定や質問項目の選定を含むインタビュー調査の設計を行った。インタビュー調査は、a)高齢者-家族介護者-ケアマネジャーの3者をペアに対して、b)地域包括支援センターに対する総合相談支援に関して、c)調査地点の地縁組織、サークル・NPO等に対して、それぞれ実施した。そして、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスを、高齢者の希望の実現を制約する要因も含めて可視化を試みた。 2年目となる平成30年度は、テーマ型コミュニティによる意思形成モデルの構築を目指し、現在の意思形成プロセスで不足している要素を抽出し、テーマ型コミュニティの形成によって補完できる要素を整理したモデルを構築する。 以上のように、本研究では、要介護期の居住場所・介護サービスの意思形成プロセスの解明と、テーマ型コミュニティによる意思決定のモデルの構築という研究目的を、学問分野横断的な体制による状況把握と介入型の調査研究アプローチによって達成する。このこと通じて、住民主体・ボトムアップ型の地域包括ケアシステムの構築に貢献することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目(平成30年度)に実証予定のテーマ型コミュニティモデルの構築と地域での介入型研究の準備のため、初年度(平成29年度)はインタビュー調査を実施し、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスを可視化してきた。
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今後の研究の推進方策 |
現在の意思形成プロセスで不足している要素を抽出し、テーマ型コミュニティの形成によって補完できる要素を整理したモデルを構築する。そして、構築したモデルを検証するため、モデルの要素を盛り込んだアクションリサーチとフォーカス・グループ・ディスカッションを設計し、地域で実施することによって、モデルの有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の経費の多くは、インタビュー調査の準備や実施のための現地への旅費、学会参加のための旅費等を予定していた。しかし、インタビュー調査の協力先が関東近辺となったこと、参加した国際学会が発表者の所属先と同じ地域であった。よって、初年度は本研究の遂行を集中的かつ効率的に実施したため、予定していた使用額が少なかった。 2年目は、初年度の活動を基盤として、調査先の地域の拡大、国内外での学会参加への使用を計画している。
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