研究課題
本研究の目的は、学問領域横断的な研究体制により、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスを可視化し、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成モデルを構築することである。1年目(平成29年度)は、要介護期の居住場所・介護サービスに関する意思形成プロセスに関する国内外の先行研究・事例を収集・類型化し、介護サービスを利用する高齢者・家族・ケアマネジャーの3者、地域包括支援センター、自治会等の地縁組織に面接調査を実施した。その結果、今後、都市部で急増することが予測されている独居世帯と、要介護期でも生活支援が他の支援と一体的支援となるよう、意思形成プロセスに補完する要素を整理した。2年目(平成30年度)は、都市部で定期巡回型の介護サービスを利用する高齢者10名の介護サービスと生活支援に関する記録を収集し、介護サービス事業者の従事者や管理者6名にフォーカス・グループ・インタビューを実施し、要介護期の生活支援ニーズに必要な要素を抽出した。3年目(平成31年度)は、地域包括支援センターと介護サービスを提供するケアマネジャーなどの専門職9名と複数の学問領域からなる研究者らと、それぞれフォーカス・グループ・ディスカッションを実施した。さらに、高齢者自身の生活支援ニーズとその生活支援者との関係に影響を及ぼす相互関係を検討するために、すでに超高齢社会を迎えている東日本大震災の地域における、65歳以上の高齢者2209名の生活実態に関する調査結果2次利用による分析を行った。以上の調査等によって、要介護期の居住場所や介護サービスに関する意思形成モデルには、つまずく等の些細な出来事の積み重ねの中で、自身の衰えを実感するタイミングや大切な人の死等のライフイベントに際して、要介護前から寄り添う伴走型の生活支援によって、心身の虚弱状態に至らないモデルが現実的であることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)
Journal of nutrition in gerontology and geriatrics
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医学のあゆみ
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