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2018 年度 実施状況報告書

オルタナティブ家族で精子提供によって出生した子の情報開示ジレンマに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K18580
研究機関大阪大学

研究代表者

牟田 和恵  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80201804)

研究分担者 丸山 里美  立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20584098)
岡野 八代  同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード精子提供 / 同性カップル / 生殖補助技術 / オルタナティブな家族
研究実績の概要

前年に引き続き、第三者からの精子提供によって子を設けた女性カップル家族の聞き取り調査を行った。今年度は、イタリアおよび台湾においてそれそれ3ケース、日本滞在中のイギリス人女性カップル1ケースについて調査を行なった。
それらの調査からは、①イタリアおよびイギリスのヨーロッパカップルではデンマークの生殖医療クリニック、台湾のカップルではタイのクリニックが、いずれも自国では不可能あるいは困難度が高いために、精子購入・体外受精の拠点になっておりインターネット上のレズビアンコミュニティを通じてそうした情報が活発に提供されサポートがなされており、同性カップルが生殖技術によって子を成すにおいて、グローバル化・情報化の影響が大きい。②子への開示については、ヨーロッパの場合は、同性婚が合法化されていないイタリアにおいても、子にはごく幼いころから事実を話し、周囲に対しても開示をしている場合が一般的である。③それに対し、台湾の場合は、子にはドナーを得たことは伝えるが、最も近い親族等を除く周囲に対しては開示しない。これは、「同性カップル」への偏見が強いことから摩擦を避けたいという意図がある。また同性カップルそのものが「不可視的」でありうることもそこにはかかわりがある。ただし、台湾においては、タイにおいて得る精子が白人由来のものであることが肯定的に受け止められており、子の外見によって与える印象が、親が同性であること以上に、周囲の受けとめかたに影響している、等の知見が見出せた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

同性婚が法的に認められていないイタリア、儒教的家族主義の伝統を残しながらも同性婚合法化を目前にしている台湾という、本研究にとって重要な意味を持つ地域で当事者にインタビューを行い、考察を深めることができた。

今後の研究の推進方策

①日本のケースについて聞き取り調査を進める。②当事者カップルに加え、クリニック・精子バンクなど、同性カップルが精子提供によって子を得ることを可能にしている制度や現場について調査を行い、日本の場合を考える上での資料とする。③日本の当事者団体に調査を行なう。
以上の3点を進行させるとともに、これまでの3年間に得た知見について報告書をまとめ、精子提供によって子をなした同性カップル家族とその子の福祉向上のための提言を行なう。

次年度使用額が生じた理由

共同研究者の一人が年度前半、イギリスにおいて在学研究中で、イタリアでの海外調査旅費が大幅に軽減されたこと、また同じ理由からシンポジウム等の開催を今年度は見送ったことによる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 近代家族の特質と女性の隠れた貧困2019

    • 著者名/発表者名
      丸山里美
    • 雑誌名

      生まれ、育つ基盤――子どもの貧困と家族・社会

      巻: 明石書店 ページ: 150-171

  • [雑誌論文] いまなぜ家族か---「家族」を強くするのは何か2018

    • 著者名/発表者名
      牟田和恵
    • 雑誌名

      季刊 人間と教育

      巻: 98 ページ: 20-27

  • [雑誌論文] ジェンダー秩序の解体と新しい「家族」の創造2018

    • 著者名/発表者名
      牟田和恵
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 722 ページ: 3-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ケアの倫理から考える福祉権の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      岡野八代
    • 雑誌名

      福祉権保障の現代的展開――生存権のフロンティアへ

      巻: 日本評論社 ページ: 65-87

  • [雑誌論文] 家族――政治からの解放は可能か?2018

    • 著者名/発表者名
      岡野八代
    • 雑誌名

      女性・戦争・人権

      巻: 16 ページ: 65-86

  • [学会発表] 家族と政治――依存する人間像からの、新たな社会構想2018

    • 著者名/発表者名
      岡野八代
    • 学会等名
      大阪府立大学女性学研究センター
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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