研究課題/領域番号 |
17K18589
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
北島 洋美 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (00614439)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 性的マイノリティ / 高齢期 / 介護福祉サービス / 質的データ分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,性的マイノリティ高齢者が安心して地域で介護・福祉サービスを受けられるようにするために,「当事者が介護・福祉サービスの利用に抱いている不安を明らかにすること」と,「高齢者へのサービス提供者が抱く性的マイノリティに対する意識等を明らかにすること」の2点である. 平成29年度は,当事者が介護・福祉サービスの利用に抱いている不安を明らかにするために,インタビュー調査を実施した.研究倫理審査会の承認を得たのち,平成29年5月~インタビューを開始した.調査対象者は60歳以上の性的マイノリティとした.当事者は性的指向等を公にしていないことが多く対象者の確保が困難であるため,本研究の対象者の募集は,性的マイノリティの支援を行い当事者とのネットワークを持っているNPO法人を通じて行った.研究概要の説明を行った後,協力の同意が得られたゲイ・バイセクシュアル男性11名のインタビュー調査を行った. 質的データ分析の結果,概念的カテゴリーとして【支援を求められない環境】【不安定な人とのつながり】【将来への不安】【自分を守る】【サービスへの疑念】【支えになる資源】が生成された.さらに高齢期の課題として,支援を求められない環境や不安定な人間関係があり,将来への不安に繋がっていることや,自分を守るためにセクシュアリティを隠し,サービス提供者にカミングアウトすることへの迷いを持っていること,そして,生活を支える資源が求められていることが明らかになった.現在,他のセクシュアリティを持つ対象者も含め,さらに対象者を広げてインタビュー調査を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象者のカテゴリーに偏りがあり,さらにインタビューを継続する必要があるが,そのことも含めほぼ計画通り進行している.
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今後の研究の推進方策 |
1.インタビュー調査の継続とデータの分析 平成29年度のインタビュー調査はゲイ・バイセクシュアル男性を対象とした.平成30年度は,他のセクシュアリティを追加し,インタビュー調査を理論的飽和化に達するまで継続する.平成28年度の結果とあわせ,学会発表及び雑誌論文への投稿を行う.
2.サービス提供者へのアンケート調査の準備 平成30年度は,1.の分析結果に基づき,平成31年度に実施予定のサービス提供者への量的調査の準備を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー対象者の確保に難航したが,繰り越した研究費は,当初予定通り調査対象者への謝金等に充てる.
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