研究課題/領域番号 |
17K18589
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
北島 洋美 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00614439)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 性的マイノリティ / 高齢期 / サービス提供者 / 特別養護老人ホーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,性的マイノリティ高齢者が安心して介護福祉サービスを利用できるようにするために,「当事者の不安やニーズを明らかにすること」と,「サービス提供者の意識や対応を明らかにすること」である. 当事者へのインタビュー調査に基づいた2019年度の研究においては,当事者たちが社会の中の否定的な価値観の影響を受け孤立しやすい状況にあり,老後の不安や課題について,主には自助・互助で備えようとしていることが明らかになった.2020年度は,それらの結果に関しての検討と考察を行った.調査結果の多くが欧米の先行研究の知見と重なっていたが,異なっている点として,経済的な困窮にあまり言及されていないことや,自己を律する意識と行動が強調され,社会環境の改良等が求められていないこと等があった.しかしながら,本研究ではインタビュー対象者の確保が困難であり,当事者支援を行う特定非営利活動法人等を通じて募集を行ったため,調査対象者に偏りがあった可能性は考慮しなければならない. そして,前年度に実施した東京23区内の特別養護老人ホーム(26施設)のスタッフへのアンケート調査の結果の分析を継続した.その結果,①スタッフが性的マイノリティ(同性愛・両性愛者)入所者への批判的な対応を回避する傾向にあること,②「常勤雇用」と「当事者の希望に対するスタッフの認知」が積極的な対応を有意に促していること,③「同性愛者に対する態度」と「当事者の希望に対するスタッフの認知」が,当事者への批判的な対応の回避を有意に促していることが明らかになった.この結果については,特定非営利活動法人が実施する研究会において報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため,研究データが保存されている場所(大学研究室)への出入りや,先行研究等の文献,書籍へのアクセスが制限されたため,本年度に予定していた調査結果に関する総合的な分析と考察が十分にできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
実施した二つの調査に関する総合的な分析と考察を行い,研究成果を学会,学術雑誌等で発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止対策に伴い,予定していた研究が行えず本年度に支出することができなかった. 次年度は研究全体の分析と考察,研究成果の発表をおこない,それにかかる経費に助成金を充てる.
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