研究課題/領域番号 |
17K18591
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
菅野 博貢 明治大学, 農学部, 専任准教授 (40328969)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 墓地計画 / 循環利用 / 永続的利用 / 地域資源としての墓地 / 亀甲墓 |
研究実績の概要 |
本研究の主要な目的の一つは、墓地の永続的な利用のための循環利用システムを探求することである。その目的に即した調査・取材を進めるため、本年度の海外調査は、スペイン~ポルトガルと中国で実施する予定であった。これら二地域とも夏季休業中に調査を実施する予定であったが、異常気象により連日40度以上の天候が続いていたヨーロッパでの調査は2020年3月に回し、中国での調査を先行させることにした。 中国の墓地を調査対象とした理由は、中国では長年一般大衆が墓地を作ることを制限していたのであるが、近年その制限がなくなり、にわかに大規模な墓地の開発が進んだからである。これらの新しい墓地は、主にヨーロッパの先進諸国に学んだプランを有しており、未だあるべき墓地の形が定まらない日本としては、大いに参考とすべきところがあるためである。調査都市は中国東北部の大都市、長春市とし、8月14~18日に現地調査を実施した。 一方、日本国内においては、沖縄の亀甲墓の調査を引き続き実施した。亀甲墓の調査を継続する意味は、墓地を中心とした人々の関係が非常に濃密であり、理想的なコミュニティを継承している一方で、近年の都市化の進展により、それら沖縄独特な習慣が薄れるとともに、都市内部に散在する大型の亀甲墓の存続そのものが危うくなっているためである。墓地というハードの維持を中心として、血縁グループのコミュニティというソフト面が継承される実態と仕組みを、現代社会の文脈の中で明らかにすることを目指した。沖縄での調査は、1月2~8日の間に実施した。 きわめて残念なことに、1月中旬以降は新型コロナウィルスの影響により、すべての調査を自粛しなければならなくなった。この影響は2020年度にも残ることが予想されるため、一旦科研費調査の中断を申請する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
夏期の異常気象による現地調査の延期に加え、2020年1月以降、新型コロナウィルス禍の影響により調査が実施できなくなっているため、予定よりも遅れている。新型コロナウィルスの影響がなくなり次第、調査を再開したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス禍の終息を待って調査を実施する。現地調査なしに本研究をすすめることはほとんど不可能であるため、研究中断の申請を打診する予定である。現地調査ができない期間は、これまでに収集した資料の整理等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
夏期の海外調査が十分に実施できなかったため、また、2020年春の海外調査が新型コロナウィルスの影響でまったくできなかったことが大きな理由であるが、1年間の延長が可能であることを前提に、新たな研究協力者(英国人の明治大学教員)の参加も考慮して、意図的に残した。だが、新型コロナウィルスの影響は2020年度後半も続くことが予想され、中断申請などの措置も検討している。
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