研究課題/領域番号 |
17K18593
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研究機関 | 恵泉女学園大学 |
研究代表者 |
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 再生産領域の国際分業 / 家事・ケア労働 / ジェンダー論 / エスニシティ / 社会的連帯 / 社会学 |
研究実績の概要 |
過去と現在の日本における有償家事労働者と国家戦略特区における「家事支援人材」とを雇用条件・労働環境、移住過程を比較しつつ、当事者と支援者への聞き取り調査を行うとともに一部の成果を公表した。 2017年度より技能実習の介護、新たな在留資格「介護」による外国人労働者の受入れが施行され、2018年度後半より国会で入管法改正が決まり、2019年4月から「特定活動 1号」で介護分野での受入れが施行される。こうした、家事・介護分野での労働力不足を移住労働者に依存する局面にあるにもかかわらず、個人の直接雇用である家事労働者はいまだに労働基準法の適用除外になり、身分による滞在許可証をもつ移住家事労働者たちを不安定な労働環境、労働者の地位に置いていること、同一労働でありながら労働者の権利保障と保護が異なる状態が問題であるを明らかにし、論文と学会発表を行った。 30年以上の支援者の聞取りからは、家事・介護労働は適性があり、誰にでもできる仕事ではないことから、続かない移住女性もいるため「移住女性」=「家事・介護労働に向いている」とはならないこと、支援者への聞き取りにより、出身国の家族に仕送りをしすぎた結果出身国の家族の浪費や本人の老後資金の不安の問題があるため、自分の将来のための資金を確保することの重要性を支援者が説明し、計画的な貯蓄と出身国の家族への仕送りをしている人もいるということが分かった。 聞取り調査、調査票による調査は、対象者との信頼関係の構築、調査の時間の確保等において、数量の不足が生じている。来年度は調査対象者の時間の確保の問題から、インターネットを介した、複数言語での調査に切り替え、社会調査として信頼できるサンプル数の確保と分析に努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
聞取り調査の数が不足している状況であり、インターネットを介した調査に変更し、継続している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、英語・タガログ語・ビサヤ語・日本語を選択できるインターネット上での調査を行い、女性移住家事労働者の日本での働き方、出身国の家族への寄与についてある程度のサンプル数を得られるように試み、分析する。その際、日本人の家事代行、家事支援の利用者への聞き取り調査を夏に行い、一部を日本社会学会で発表する予定である。 女性移住家事労働者による再生産の国際分業に関しは、2019年度後半に分析を進め、2020年度に学会で報告し、学会誌等への寄稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
聞取り調査、調査票の配布の数が少なかったため、謝金等の支払いが少なくなった。インターネット調査と使用言語数を増やした分の翻訳・通訳の謝金として2019年度に繰り越すこととした。
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