本研究は、学校教育現場において、ジェンダーやセクシュアリティに関する教育を展開・浸透させていくための教育実践モデルの開発を目指すものである。特に、学校の中で具体的な支援が求められている「多様な性」に関する教育実践のありように焦点を置き、これらの教育実践をめぐる学校の現状と、これらの教育実践が進展/抑制される現場の力学や解釈実践を明らかにしていく。これをもとに、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる教育を豊かに推進していくための教育実践の具体的課題について、地域の学校あるいは教員たちと協働的に検証していくことを目指す。 本研究では、北海道をフィールドに、多様な性に関する教育実践が、いかなる問題意識や知識をもとに、どのように扱われ、またどのように解釈されているのかを、教育行政等の政策的な①マクロ視点、学校及び教員のありようや実践に関する実態、認識といった②ミドル視点及び③ミクロ視点の各観点から、質問紙及びインタビュー調査等によって多角的にとらえていく。 2019年度は、②ミドル視点及び③ミクロ視点に関する質問紙調査の結果を統計的に分析し、その結果を関連学会にて報告した。さらに、ジェンダーやセクシュアリティに関する教育の体系や研修内容の検討を深めるために、前年度に引き続き、「第2回 性の多様さを持つ子どもたちのためのサポートを学ぶための講習会・函館」を学校教員と協働的に開催した。また、質問紙調査の結果について、学術論文にまとめた。
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