研究課題/領域番号 |
17K18606
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
串本 剛 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60457835)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 卒業研究 / 文系学科 / 学士課程教育 / 学修成果 / 学修時間 / 単位の実質化 |
研究実績の概要 |
本研究は,日本の大学における卒業研究の成績評価方法について,文系(学校基本調査の学科系統分類で人文科学及び社会科学に含まれる)学科の学士課程教育に限った上で,その現状を実証的に明らかにすることを目的とする. 平成29年は,人文科学系の全870学科,社会科学系の全1,100学科について,卒業研究にかかる授業科目名と単位数,履修区分(必修か選択か)のデータセットを作成し,特に人文科学系データ分析を行い,その成果を2018年1月のHawaii International Conference on Educationで"Undergraduate Research in Japanese Higher Education: case of humanities"と題したポスター発表した. 同発表では,①日本の人文科学系の学科のうち40%ほどが,文学,哲学,歴史のいずれにも含まれない「その他」分野の学科である,②8割弱の学科において,卒業研究が必修の授業科目として課されている,③学生の学修時間に比べ,卒業研究の割り当て単位は少ない傾向にある,といった点を報告した. また科目設置の状況や日本における卒業研究の歴史をまとめた論文が,書籍(『グローバル社会における高度教養教育を求めて』)の一部として刊行された.同論文では,東北大学を事例として,卒業研究の端緒が戦前の学士試験にあり,戦後,授業科目として位置付けられるに至ったことなどを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた訪問調査は実施できなかったが,必要なデータセットを完成し,文系学科に関しては研究成果の発表もできた.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までの研究で,卒業研究に関する科目の設置状況に関しては詳細に明らかとなったので,その成績評価方法に関する実態解明を進める.幸い,人文科学系学科の学科長を対象とした調査がすでに行われていることが確認できたため,その結果と比較可能な形で,社会科学系学科の学科長調査を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
卒業研究の成績評価に関して特徴的な取り組みをしている学科への訪問調査を計画していたが,実施しなかった.余剰金を使って2018年度に実施する予定である.
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