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2018 年度 実施状況報告書

オンラインゲームによる文化財再生と引きこもりの子どもの学習保障・就労支援

研究課題

研究課題/領域番号 17K18613
研究機関東京大学

研究代表者

田口 純子  東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任研究員 (50759488)

研究分担者 林 憲吾  東京大学, 生産技術研究所, 講師 (60548288)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード建築教育 / 情報デザイン / メディア / ゲーム / 不登校 / 学習支援 / 教育開発 / PBL
研究実績の概要

既存の学習環境に馴染めない子どもの不登校や引きこもりの背景に、特定領域への強い関心がある。特にゲームへの関心については依存として問題視されることが多いが、その依存をただ解消しようとすることは多くの場合困難である。したがって、彼らが持つゲームへの関心を高い意欲とスキルとして活用し、実社会と結びついた学びに転換する方法の開発が必要である。
本研究では、オンラインの仮想世界に自由にブロックを積み上げるものづくりゲーム「Minecraft」用いて地域のシンボルとなる建物や街並みを再現・復元するプロジェクト型学習(PBL)を開発することを目的とする。
平成30年度は、産学民官の主体同士が協働できるPBLを2地域で開発した。
その一つは、通信制のN高等学校(心斎橋キャンパス、代々木キャンパス)の協力のもと、Minecraftに関心のある高校生とともに、心斎橋キャンパス近隣にある歴史的建造物「大丸心斎橋店本館」の建替え前の姿をMinecraftで復元する放課後活動を実施した。当該活動は高校生によって自主的に運営され、大丸心斎橋店社員・OB等からの建物の歴史のレクチャーや、図面・写真資料の提供、内部お披露目会などの連携を行いながら、通信制高校と近隣企業を結んだ特色ある活動となっている。
もう一つは、埼玉県深谷市の協力のもと、深谷市の住宅で共同生活を行いながらMinecraftでまちのシンボルである「深谷駅」を再現する合宿を、Minecraftに関心のある市内外の高校生と申請者・共同研究者・学生RAの15名程度で、年3回各1週間程度実施した。当該合宿も、市からの情報提供や市職員・地域住民を招いたワークショップ、商店街の協力による街歩き、深谷ドローンスクールの協力による深谷駅の空撮資料の撮影など、さまざまな連携を行いながらMinecraftと地域を結んだ活動に進展した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度中に当初想定されていなかった研究代表者の所属変更が生じ、研究対象のプログラム運営主体との連携の困難や個人情報保護の観点から、研究対象を変更する必要が生じた。
平成30年度には大阪・心斎橋と埼玉・深谷市の2地域でPBLを開発し、その実施については計画どおり順調に進行している。しかし、平成29年度の遅れを取り戻すことが難しく、PBLの評価や参加者へ深いインタビューを行うなどの質的調査については当初の研究計画に照らすと達成されていない。したがって「やや遅れている」と判断した。
平成31年度までの補助事業期間の延長を申請し、承認された。

今後の研究の推進方策

今後は、平成30年度中に実施したPBLの評価を、現場の定点撮影・参与観察の記録やインタビュー記録をもとに行う質的調査と、ゲームのログなどを活用した量的調査の、トライアンギュレーションによって行っていく。
本研究では、平成29年度に実施した予備実験を除いて、直接に不登校や引きこもりの子どもを対象としなかったが、ゲームに対する否定的なイメージを変えたいという意思を持った通信制高校生の参加を得ることができた。本研究の成果目標として、PBLの質的・量的調査からゲームと社会をつなぐ新しい学びの場のかたちを言語化するとともに、参加者が自分たちでも学びの場の評価をすることができる尺度を形成する。また、調査対象は高校生に限らず、PBLに関与した協力者(深谷市職員、大丸心斎橋店社員、地域住民など)、学生RA、高校教員などにもインタビューを行い、多様な主体から見たPBLの評価を行う。
本研究の成果をもとにした今後の展望は、Minecraftを用いて地域のシンボルとなる建物や街並みを再現・復元するPBLを、小中学生に向けて開発し、日本各地の不登校の子どもがオンラインで参加・交流できるプラットフォームを構築することを目指している。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度中に平成29年度の進捗の遅れを取り戻すことができず、平成31年度までの補助事業期間の延長を行なった。平成31年度には大阪・心斎橋と埼玉・深谷市の2地域におけるPBLの評価、研究成果の学術発表、地域に向けた発表などを行うための、国内旅費、人件費(RA謝金)、物品費(機器・ソフトウェア、消耗品)の支出を予定している。

備考

埼玉県深谷市と大阪心斎橋のPBLの趣旨・プログラム・成果動画などを上記のwebページで公開している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)

  • [学会発表] Conserving memories of a heritage building using Minecraft: an active learning approach2018

    • 著者名/発表者名
      Junko Taguchi
    • 学会等名
      International Child and Architecture Congress: sharing Experiences
    • 国際学会
  • [学会発表] BEE for stay-at-home children2018

    • 著者名/発表者名
      Junko Taguchi
    • 学会等名
      Ludantia: International Biennial of Education in Architecture for Children and Youngsters
    • 国際学会
  • [備考] BOKUCRA-ぼくたちが深谷をクラフトする件について。| 地域資源研究プロジェクトin深谷市

    • URL

      https://bokucra.com/fukaya/

  • [備考] BOKUCRA-ぼくたちが心斎橋をクラフトする件について。| 地域資源研究プロジェクトin心斎橋

    • URL

      https://bokucra.com/shinsaibashi/

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公開日: 2019-12-27  

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