研究課題/領域番号 |
17K18614
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅井 幸子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30361596)
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研究分担者 |
金田 裕子 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (30367726)
申 智媛 帝京大学短期大学, その他部局等, 講師 (40784731)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
北田 佳子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60574415)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 学校改革 / 学校づくり / ナラティブ / 教師のコミュニティ / フェミニズム |
研究実績の概要 |
(1)A小学校の先生方へのインタビューを、教師がどのようにコミュニティを形成していたかという点に着目して検討し、論文として発表した。明らかになった知見は、以下の点である。第一に、A小学校の学校づくりでは、困難な状況への直面が教師コミュニティの形成の契機となっていた。その際に、「できない」ということを語る語りの共有を通してコミュニティが形成されていた点に大きな特徴があった。第二に、そのような「できない」という語りは、通常は抑制されることが多いが、A小学校では「できない」という語りの共有を通した子どもへの責任の共有に積極的な意義を付与すること、また「できない」と語ることのできる場を設けることによって可能となっていた。第三に、そのようなA小学校のコミュニティの形成は、従来の教師のコミュニティ研究が想定するような専門性を基盤とした協働とは異なる。 (2)A小学校の教師コミュニティの形成を検討するにあたり、ナラティブ研究の方法の開発を試みた。これまでの学校改革の研究は、学校の組織の研究、あるいは個々の教師の経験の検討を行ってきたが、教師コミュニティの形成過程の検討において双方を関連づけることを企図した。 第三に、上記のA小学校の研究を通して教師コミュニティの理論的な検討を深めるため、「オーセンティシティ」および「ヴァルネラビリティ」の概念の探求を行うとともに、その概念を用いてA小学校の事例の検討を試みた。「オーセンティシティ」の概念は、カナダの政治哲学者チャールズ・テイラーの議論に即して検討した。また「ヴァルネラビリティ」の概念は、それに積極的な意義を付与したカナダのオンタリオ州の教育改革、およびフェミニズムの議論に即して検討した。 第四に、国際的な学校改革の文脈において、A小学校の学校改革の特徴の位置づけを試みた。具体的には、イギリス、韓国、アメリカ、カナダ等の学校改革研究を参照した。
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