研究課題/領域番号 |
17K18615
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
山田 修 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (30571723)
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研究分担者 |
白澤 陽治 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (80736778)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | AR / VR / 模刻 / 保存修復 / 仏像 / 文化財 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、アプリの開発と動作検証を中心に行った。昨年度に引き続き、プラットフォームとしてはiPad(iOS)、開発環境としてはUnity及びVuforiaを採用した。これまで回転、スケール、移動、輪郭線・透明度の表示方法の変更といった付加機能を設けていたが、それに加えて、3点までの光源を任意の角度から簡易に配置することを可能にした。 一番のキーポイントになるのは対象モデルのデータ量であり、それによって基準となるマーカーに対する追従性が大きく変わってくる。データ量を削減すること自体は容易なことであるが、形状を維持しながら大幅な削減をするにあたっては多少工夫が必要である。場合によってはそのデータ自体を大幅につくり直す必要もあるが、簡易に解決できる手法についても検討を行った。またiPad数種類にアプリをインストールして試すことで、どのくらいハードウェアの性能が必要となるかの目安を立てることができた。 テクスチャデータも4096x4096の解像度までは動作上問題なく表示できることを確認し、表面状態といった質感の再現性も高くなった。そのため彩色の工程でも使用できる可能性も考慮していきたいと考えている。 表示においてはハードウェアの性能に大きく依存するところはあるものの、現行の機種の性能も向上しているため、アプリの汎用性や実用性は高くなるのではないかと考えられる。 現在模刻を目的として開発しているアプリではあるが、展示や解説など他用途にも応用できる技術と考え、付加情報を取り入れたプレゼンテーションツールとしての活用も模索していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでアプリの開発や動作検証に多くの時間を割いたため実際に模刻への応用まで十分に至っておらず、「やや遅れている」と認識している。しかし開発に時間をかけた分、完成度は高まったと思われ、今後の実証実験に向けてより良い成果を出すことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は実際の模刻作業でテストしていくことによって、不足機能を明らかにして実用化を目指していく。今後研究協力者と連携して、アプリを実装したタブレットを利用して模刻作業を行ってもらい、修正、改善を行い完成度を高めていかなければならない。また汎用性を一層高めるため、インターネットによるブラウザをベースでの検証もしていきたいと考えている。現在そのための情報収集や試験テストを行っており、並行して開発していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証実験を十分に行うことができなかったため、未使用額が生じてしまった。今後実用化において精度の向上だけでなく、簡易で汎用性を持たせるために追加で実証実験を行うことを考えている。またその結果プログラム開発が必要になる可能性があるため、繰り越した費用をそこに充当する予定である。
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