研究課題/領域番号 |
17K18617
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 名誉教授 (10018822)
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研究分担者 |
興治 文子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60409050)
土佐 幸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40720959)
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50242392)
岡野 勉 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30233357)
鈴木 賢治 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30154537)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 物理学筆記 / アクティブ・ラーニング型授業法 / ICT・IoT活用した能動的学習法 / 化学筆記 / 教育実習教案筆記 / 小学校生徒用物理書 / 巨大風船実験とアトウッド装置 / 明治理数教育の実相 |
研究実績の概要 |
明治150年の理数工教育分野で世界に挑んだ授業実録資料(授業筆記・教案筆記・試験記録他)を全国網羅的・系統的に発掘・収集し,その調査分析研究を進めてきた。2017年度は150年の前年度に当るが,その授業実録の探索と実録集の構築に基づく理数工教育史の調査研究によって,法令や教科書指定を超えた明治150年の教育現場の史実的実相を究明し,授業記録に基づく理数教育史の新領域を切り拓くことを目指して,新地域と新分野の網羅的探索を試行した。同時に,探索収集した授業筆記が示す当時の実相から新潟各地や全国各地に於いて知られざる真相解明に挑戦した。授業筆記で具体的に示された実験器具・装置・日常的簡易実験装置の開発等がどのようされどう教えられたか。工学分野を含む実学的志向の影響の実態や,日本型教科書と創意工夫に富む実験形成等を考察した。特に,兵庫・大阪や東北の岩手,隣県の山形,四国の香川,九州の大分や熊本に至る大量な文書の発掘を開始できた。北海道から本州や四国と九州までの全国的範囲への初踏査を含む,全国網羅的探索調査への新展開が実現できた。 理化学分野・数学分野・工学分野では,それらが互いにどう関連し合って展開したかを解き明かし,その現代的教育ニーズに応えるように理数工教育の今日的価値の新展開と再構成を目指してきた。特に明治期に世界最高水準を目指した遺産・教訓・今日的価値を現代的に再構成してきた。さらに,無線モバイルITセンサー・超高速カメラ他のICTやIoT活用して歴史的価値を甦らせるべく,アクティブ・ラーニング型学習法を再構成してきた。 明治150年理数工教育の実相解明に関する全国的な研究会を新潟大学で実施し理数工教育形成史の実相・教訓等の解明を目指した。ICPE2017他の国内外学会で報告し,アジアや世界の理数教育分野の連携進展を目指し,国内外の小・中・高・大学の教育研究に寄与した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な理由:(1)特に,新たな探索収集が東北の岩手や山形,四国の香川,九州の大分や熊本,新潟の上越などで急進展できた。このことは,北海道から本州や四国と九州までの全国的範囲への初踏査を意味しており,全国網羅的な探索調査への新展開が「おおむね実現できる見通し」を得たので,本研究の「ほぼ順調に進展」できるという明るい展望をもたらした。(2)その際,香川や岩手や大分については「学会他の機会を活用して現地の図書館などを直に訪ねた」ことで,「何々家文書目録の存在を見出し」その中に貴重な授業記録の存在を初めて見いだすことになった。(3)他方,新潟の上越や山形や熊本におけるかなり大量な文書の発掘の開始は,教案類を見かけたという知人の情報や,地震で救済された文書の所在情報を手掛かりに,あらかじめウェブ他での本格的な事前検索により見出した筆記文書や授業案・授業記録類である。そのリストを作成して,文書所蔵現地とのメールでのやり取りをして,収集可能な段階に到達できたものである。(4)今後も学会の機会をとらえた(熊本,香川,九州,岐阜)新文書探索,従来からの関東甲信越や北陸地域,兵庫・大阪・岡山・広島・山口などに於ける,より網羅的な探索,更に,知人情報を基にした和歌山・熊本他での,新展開地に於ける期待に満ちた取り組み,等の急進展が十分に見込まれる状況にあるからである。 (5)この3月には,全国の共同研究者・連携研究者と共に新潟大学で研究会を開催し,本年度の研究成果を集約した。その際,来る最終年度には本研究の成果を集約して発表するような「学会シンポジウム企画」の開催を期すことを確認した。即ち,これまで毎年蓄積してきている3月研究会の成果を基礎にして,最終年度における重要な取り組みとして「学会シンポジウム開催」に向けた取り組みを本格的にスタートさせる確認ができた。
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今後の研究の推進方策 |
明治150年の理数工教育の授業記録資料収集とその電子集録庫の構築への取り組みとして,150年理数工授業の筆記・試験答案・等を撮影した多様な一次資料・2次資料の文書収録庫(統一的PDF化データベース)を,重点地域から全国へと拡大して実施する。その重要な生徒筆記の解読・ワードファイル化や系統的に整理・統合し分野毎に網羅的なデジタルリポジトリ資料データ集を構築する。それらと欧米の最先端教科書との国際的関連を解明する。授業筆記が示す当時の実相から,中川謙二郎や後藤牧太達の日本型教科書のような,明治150年を期して,すぐれた教育内容,教科書や教育方法は生命力を失はずにどのように継続されたか。新潟各地や全国各地に於いてそうした知られざる真相を解き明かす。理学・数学・工学分野の共通性と異質性についての分析を進める。授業筆記で具体的に示された実験器具・装置・日常的簡易実験装置の開発等がどのようされ,どう教えられたか。工学分野を含む実学的志向の影響の実態,日本型教科書と創意工夫に富む実験形成等を考察して,各地の教育実相解明に挑戦する。理化学分野・数学分野・工学分野は互いにどう関連し合って展開したかを解き明かし,その現代的教育ニーズに応え得るように理数工教育の今日的価値の新展開を目指す。無線モバイルITセンサー・3Dプリンター・超高速カメラ他のICT AL型物理教育研究や理数工分野の基礎的基本的概念の形成学習での能動的学習モジュールを多数再構成し,モバイル無線ICT活用日本・アジア・欧米連携を推進する。明治150年理数工教育分野の全国的な蓄積に基礎付けられる新成果の集大成を目指す。 明治150年の最終年度には,「新潟大学での科学・数学・技術」教育形成史の実相・教訓等をめぐる研究会」や「学会シンポジウムや国内外学会講演」他を実現して,理数工教育の形成史の実相・教訓等を集大成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次のようである
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