研究課題/領域番号 |
17K18621
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
伏木 久始 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00362088)
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研究分担者 |
青木 一 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90754341)
上村 惠津子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30334874)
林 寛平 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (10726376)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
三崎 隆 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70360964)
大藪 勝 信州大学, 学術研究院教育学系, 講師 (70778000)
市川 公明 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80778001)
油井 幸樹 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60778033)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 研修ニーズ調査 / 教員育成指標 / 教職課程コアカリキュラム / 大学と教育委員会の連携講座 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教職課程コア・カリキュラムを踏まえた教員養成カリキュラムと、都道府県教育委員会により策定される教員育成指標の両者を、理論的・実践的に連結させて教師教育における養成・採用・研修の一体的改革モデルを提案するとともに、そのモデルを教職大学院のカリキュラムに反映させ、教育実践を通してその改革モデルを開発し、その有効性を検証することである。 1年目(平成29年度)は、教職課程コア・カリキュラムを踏まえて教員養成カリキュラムを見直すとともに、長野県教育委員会との連携協定に基づき、教員育成指標に応じた長野県教員研修体系を協同で検討した。それと並行して、信州大学教育学部卒業生で長野県の公立小中学校に正規採用されている若手教員を対象とした研修ニーズ調査を実施した。研修ニーズ調査は、郵送による質問紙調査に加え、回答を寄せてくれた卒業生有志への追加調査としての面接調査から得られた内容も反映させた。その調査結果を通して、学校現場の多忙さや外部の研修に参加したくても参加困難な実情をあらためて明らかにできた。特に、授業づくりのための教材研究に対するニーズが高いものの、そうした機会を得ることの難しさを学校現場の教員から具体的に説明を受けることができたことは、大学側スタッフとしても貴重な調査となった。 また、教職大学院の授業の一部を、長野県教育委員会が策定する特定の教員研修講座の内容としても位置づけ、双方に要求される水準をカバーする講習内容を理論的にも実践的にもカバーする講座として開発する基盤づくりを行った。この成果に基づき、平成30年度の長野県教員研修講座の中に、「信州大学教職大学院との連携講座」を新規開設することができた。 以上の取り組みは、教員の「養成・採用・研修の一体改革」の取り組みにおける大学と教育委員会の連携を実質化する先行実践として具体的な成果を提供したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の1年目の研究計画にあげていた教職課程コア・カリキュラムに即して信州大学の教員養成カリキュラムを修正することや、長野県教育委員会との連携協定に基づいて育成指標に応じた教員研修全体計画を協同で見直すという計画はほぼ実践できた。また、県内の小中学校および特別支援学校の教員に対する研修ニーズ調査を実施できたこともほぼ計画通りと言える。さらに、教職大学院の一部授業を、長野県教育委員会の特定の教員研修講座に要求される内容を受けて連携講座として位置づけ、平成30年度の研修計画に反映させることができた点は計画以上の成果として認められる。 ただし、研修ニーズ調査の対象が、手続上過去5年以内の正規採用者に限定されたことや面接調査の対象が想定していた人数の半分程度の10名にとどまったことなどを考慮し、総合的には「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目(平成30年度)は、長野県教育委員会と協議しながら再編成を検討する初任研・5年研・10年研相当の各段階のキャリアアップ研修プログラムを見直し、一部の講座を教職大学院のカリキュラムと水準を合わせて新たな研修プログラムとして開発する。また、教員免許更新講習の各種講座と長野県教育委員会主催の講座講座との連携ないし単位互換の可能性を追究し、長野県教育委員会と信州大学教育学部との連携協議会等で具体的な協議を開始する。 また、山口大学および山口県教育委員会、千葉大学および千葉県教育委員会等とのネットワークを構築し、教員研修履歴のシステム構築の議論を進める。その上で、教員研修に関わる関係各所との協議を進めて教員研修体系の調整を行う。 さらに、信州大学教職大学院のカリキュラム改訂のワーキングを発足させ、長野県教員育成指標に即した研修講座との関連を踏まえた教職大学院の授業内容の充実を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
長野県内の現職教員に対する面接調査に関して、予定していた調査対象数のアポイントメントが取れず、見込みの半数程度の面接調査となったため、その分の旅費および調査補助のアルバイト謝金にあたる額が未消化となった。この未消化分は平成30年度に追加調査を行い、研修ニーズ調査のデータを補充する予定である。
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