研究課題/領域番号 |
17K18622
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
永松 裕希 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60324216)
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研究分担者 |
上村 惠津子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30334874)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 発達障害 / 書字表出障害 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、すでに実施した予備調査の結果を基に、①書字表出の評価方法、②書字表出に関する調査、にかかわる次の事項を実施した。①について、読解能力・文字及び単語の処理能力の評価に対して、包括的領域別読み能力検査(以下CARD)を、視知覚に関わる評価に対してWide-range Assessment of Visual-relation Essential Skills(以下、WAVES)を選定した。なお、漢字の書字能力の評価には、総合初等教育研究実施課題の小学校1~3学年の学習漢字から100題を抽出して作成することとした。なお、これらの検査の選定にあたっては我が国の書字表出障害に関する先端的研究に取り組む研究者から助言を受け、併せて調査結果の分析において必要な知見についての指導助言を得た。②については小学校3学年の通常学級に在籍する児童117名に対して、調査を実施した。調査内容は、①で示した「CARD」「WAVES」及び漢字の書字能力に関する検査であった。これにより、音韻系・意味系・視覚-運動系・視知覚系の各要因からの書字能力の分析に必要なデータが収集された。なお、調査結果のうち、欠席等でデータの一部に欠ける児童を除いた102名を分析の対象とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに本研究の中核となる調査を実施し、データの収集を行ったため、大きな研究計画の変更は必要ないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の書字表出に関する調査、並びに、書字に影響を与える各要因(音韻系・意味系・視覚-運動系・視知覚系)に関する調査結果を基に、(1)書字表出障害及びその周辺にある小学生児童の具体的な学習上の困難を明確にすること、(2)書字表出における困難さを生じさせる要因を調査により明らかにし、これに意味系回路、音韻系回路、視覚上の要因、および目-手協応からなる神経心理学モデルを援用してタイプに分類すること、の検討を予定している。なお、調査分析の過程で典型的な事例の抽出が可能であれば、学習支援による効果についての情報収集を並行して行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、先端的な読み書き障害研究に関する情報収集として海外の研究者からのインタビューを予定していたが、他の業務との重複で実施できなかった。今後の分析作業及び神経心理学モデルを援用してのタイプの分類に必要であるため、次年度使用額は平成30年度請求分と併せて、インタビューのための旅費として使用する。
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