研究実績の概要 |
令和4年度における研究実績の概要は以下の通りである。(A) 口述能力を媒介して言語運用能力(4技能)や基礎学力等の測定を行うための課題の開発については,特に即時的な思考・判断能力を重要視しつつ,言語運用能力,思考能力,発想能力および表現能力を要するインタビュー課題を試作し,難易度の調整を行った。(B) 言語能力をベースとした基礎的な学力あるいは認知的能力を総合的に尺度化するための評価基準の開発については,CEFRを基礎とした言語運用能力の評価基準をCEFR補遺版(CoE, 2018)に基づいて評定尺度を試作した。併せて,(日本の中等教育課程を想定した)教科・科目学力の習熟度に関する自己評定尺度を試作した。京都大学の学部新入生の英語(外国語)運用能力の自己評価レベルについて,CEFR の能力記述文を尺度項目としたアンケート調査を過年度から引き続いて実施し,項目反応理論の一般化部分得点モデルによる尺度化を行った(累積標本数=10,505)。(C) 高等教育における学術的な適性を評価するための口述回答適性検査の開発については,先行研究および海外における基礎的コンピテンシー(Key Competency)に関する評価尺度等を参考にして,論述テキストの評価項目から口述テキストの評価項目への内容的な援用・応用可能性について引き続き慎重な検討を行い,いくつかの検査項目を試作した。(F)先行研究との研究成果の紐付けに関しては,日本語運用能力に関するテスト項目および高等教育において必要となる適性・資質等に関する自己評定尺度のweb試行版を開発した。(E) 対話型試験の遠隔実施(web)プラットフォームの開発については,最終的にはiPadを用いた試行調査を年度末に実施し,一連の試験実施フローの合理性を検討した。
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