研究課題/領域番号 |
17K18633
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近田 政博 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (80281062)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 教学マネジメント / 大学教育 / 大学教員 / 研究指導 / 学士課程 / ファカルティ・ディベロプメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学において教学マネジメントに関する役職をはじめて経験する中堅教員(40代の准教授および若手教授層)が、これらの役職に必要な知識・スキルをスムーズに修得する上で必要な方法論を特定化することである。大学教員は授業や研究指導については学生時代から自身の指導教員などの実践事例を知る機会があるが、大学の管理・運営について学ぶ機会はほとんどない。このため日本の大学では多くの大学教員は、本来は教育・研究に充てるべき時間や労力を、会議や打合せ等の運営業務に必要以上に費やす傾向がある。本研究では、大学教員が教育・研究上の生産性を維持するには、教学マネジメント(教育と学修に関する管理・運営業務)についてどのような知識とスキルを身につける必要があるかを明らかにする。 平成29年度は大学教員が直面する教学マネジメントのうち、研究指導に関する業務を抽出し、これを体系化した。その成果を、近田政博編著『シリーズ大学の教授法5 研究指導』(玉川大学出版部、2018年3月)として刊行した。本書では、研究指導において、指導教員として果たすべき役割について、「卒業論文などの研究活動を通じて、学生が自律的な学び手となるのを支援すること」であると位置づけた。 多くの大学で行われている日常の研究指導は、ゼミや研究室のメンバー全員に対して一斉に行う指導と、個々の学生のニーズや特性に応じて行う個別面談の組み合である。授業では教員は学生を主導する立場にあるのに対して、研究指導では学生の研究を側面から支援する立場にある。本書では、指導教員としての学生との接し方、研究室の日常的な運営、個別面談や集団指導に関する知識とスキルを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は研究指導に関する課題を明らかにすることに注力した。平成30年度以降は大学全体あるいは学部・学科レベルの教学マネジメント上の課題を明らかにすることに取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
日本の大学において教学マネジメントの登竜門的なポストに就いている中堅教員に対して、教員本来の教育・研究役割と管理運営業務との葛藤について半構造化型の面接調査を実施する。管理運営業務を経験することが彼らの教育・研究活動にどのような負荷・影響を与えているか、彼らが管理運営能力をどのように獲得していくのかを調査する。 また、大学教授職の能力開発に関する諸外国の学協会に参加し、大学教員の管理・運営能力形成に関する研究や研修教材等の収集・精査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は本務校の教育改革に関する運営業務に忙殺されたことにより、他大学への訪問調査を十分に行うことができなかった。平成30年度はこれらの業務日程を事前に把握した上で、研究予定を組み立てることとする。
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備考 |
日本と韓国における研究指導上の課題についての共同研究に着手した。
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