研究課題/領域番号 |
17K18644
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中坪 史典 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (10259715)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | フォト・エスノグラフィー / ヴィジュアル・エスノグラフィー / 実践者との対話 / 子どもの経験の記述 / 多声的な声 / 実践知 / フォト・ボイス |
研究実績の概要 |
当該年度における研究実績の概要は、次の通りである。 第一に、フォト・エスノグラフィーに関する国内外の先行研究について、特に文化人類学分野の成果を中心にレビューした。特に、a)フォト・ストーリーに役立つ8つの構図、b)フォト・エスノグラフィー観点シート、c)人類学研究におけるフォト・エスノグラフィーの可能性、d)フォト・エスノグラフィーの理論と実践、e)子どものフォト・ボイスなどの成果について、本研究が志向する「実践者との対話」「子どもの経験の記述」への援用可能性について検討した。 第二に、フォト・エスノグラフィーとヴィジュアル・エスノグラフィーの比較について、特に実践者との対話を通して、保育者の実践知(Practical Content Knowledge)に関する「多声的な声(Multi-vocal)」を紡ぎ出すという視点から検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況について、自己点検による評価の理由は、次の通りである。 上記の通り、当該年度は、国内外の研究動向についてレビューすることで、子どもの経験を記述し、実践者と対話するための方法論としてのフォト・エスノグラフィー構築のための手がかりを探った。その結果、既述したような、a)フォト・ストーリーに役立つ8つの構図、b)フォト・エスノグラフィー観点シート、c)人類学研究におけるフォト・エスノグラフィーの可能性、d)フォト・エスノグラフィーの理論と実践、e)子どものフォト・ボイスなどから、フォト・エスノグラフィーの援用可能性に関する多くのヒントを得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、次の通りである。 第一に、広島大学附属幼稚園、東広島市立八本松中央幼稚園、東広島市立御薗宇幼稚園、かえで幼稚園(広島県廿日市市)をフィールドとし、8つの構図を用いて子どもの経験を記述するためのフォト・ストーリーを作成する。 第二に、子どもの経験を記述(作成)したフォト・ストーリーについて、フォト・エスノグラフィー観点シートを用いて、各園の実践者と対話する。対話の様子をICレコーダーに録音し、保育者の実践知について検討する。 第三に、以上をもとにフォト・エスノグラフィーの可能性と課題について検討し、6月に開催される日本教育方法学会研究集会(大阪教育大学)、9月に開催される国際幼児教育学会(福山市立大学)、11月に開催される日本質的心理学会(名桜大学)等で発表を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
<次年度使用額が生じた理由> 次年度は、具体的にフォト・エスノグラフィーの実施、実践者との対話、ICレコーダーによるインタビューデータの録音、テープ起こし、分析などの研究作業が発生することがその理由である。 <使用計画> 次年度は、インタビュー協力者への謝金、質的データ分析の専門的知識の提供に関する謝金、情報収集に関する旅費、学会発表旅費等などの使用を計画している。
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