研究課題/領域番号 |
17K18646
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
七木田 敦 広島大学, 教育学研究科, 教授 (60252821)
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研究分担者 |
松井 剛太 香川大学, 教育学部, 准教授 (50432703)
大野 歩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60610912) [辞退]
真鍋 健 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10611197)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 保幼小接続 / RTI / 発達障害 / 幼稚園 / 保育所 |
研究実績の概要 |
就学前の保育・教育と小学校教育との間には「段差」があり、例えば「小1プロブレム」と呼ばれる指導困難事例が報告されてきた。この段差の解消に向け、文科省はスタートカリキュラム(小学校1年生)、アプローチカリキュラム(年長5歳児)とよばれる保幼小接続プログラムの実践を提案している。小学校におけるスタートカリキュラムについては研究や取組が報告されているが、アプローチカリキュラムについては、わずかな事例報告があるだけである。そこで本研究では、米国の特別支援教育で注目されてきているRTI(Response to Intervention:教育の可能性に対する敏感性)の理論を援用し、「発達に配慮を要する」幼児をも対象とした段階的なアプローチカリキュラムを作成し、その効果の検証を行うことを目的とする。これまで様々な発達特性をもつ子どもを無理なく漸進的に保育所あるいは幼稚園から小学校1年生へ移行させるために様々な実践が行われてきた(河口、七木田2013)。しかし配慮が必要な幼児や独特の認知特性を持つ幼児などの、「学びに対する構え(RTI)が低い」幼児は、アプローチカリキュラムの対象外に置かれ、小学校就学後の留意事項が伝達されるだけで、就学準備という視点での支援がなされることはなかった(河口、七木田2014)。広島県内の2つの園の年長児90人を対象に、年長児から小学校入学までの「学びに対する構え(RTI)」の変容を分析した。その結果、RTIによる支援が「学びの基礎力の育成」の達成に貢献し、また「小1プロブレムの予防」に効果のあるプログラムモデルとなりうる可能性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H30年度は、予定していたドイツでの調査とイギリスでの調査が、それぞれ(1)研究協力教員がサバチカルで不在だったこと(ドイツ)、(2)日程調整ができなかった、の理由で計画の進捗に停滞があった。
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今後の研究の推進方策 |
H31年度ドイツライプチッヒ市において「RTIに基づいたアプローチカリキュラム」を受けた年長児の小学校での学校適応について、教育実践現場において記録分析を行う。また小学校一年生の担任の教員にインタビューを実施する。その際インタビューに含まれるのは、(1)アプローチカリキュラムで習得した「学びの構え」の就学後の影響について、(2)対象児童の学校適応状況について、である(七木田が担当)。またライプチッヒ市で実施されている「小学校へ向けたアプローチカリキュラム」についての実際と評価を行う(七木田が担当)。その際に観点となるのは、カリキュラムの汎用性について、カリキュラムの効果、妥当性について、である。帰国後、これまでの成果をもとに、毎年広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設が開催している「保幼小連携フォーラム」研究会にて発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度、研究代表者がドイツ・ライプチッヒ大学教育学部と協同で、ライプツッヒ市に滞在し、現地調査をすることを予定していたが、協力教員が不在だったために実施できなかった。そのためこれを次年度、滞在費などに使用することにした。
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