研究課題/領域番号 |
17K18651
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
杉田 郁代 高知大学, 大学教育創造センター, 特任准教授 (90469320)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 一次的支援 / 学生支援モデルの開発 / 大学教員による担任制度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまで学術的な検証がされてこなかった担任・アドバイザー(大学により名称は異なる)とよばれる、相談支援を専門としない大学教員の行う学生の大学適応支援について、学校心理学の視点から学術的に捉え直し、学校心理学のモデルに構造化し、学生支援を捉え直す。また、日常的に行われている支援内容や、研修方法についても、次年度以降に検証を行っていく予定である。本研究期間内に明らかにすることは、①大学における担任・アドバイザー制度が、どのような学生支援的な役割をになっているか、②具体的にどのような取組みを行っているのか、教員を対象にした実態調査を行い、相談内容や具体的な支援方法について、明らかにする。 初年度の研究では、国内の論文や調査報告、著書等の先行研究レビューを行い、相談を専門としない大学教員の行う学生の相談支援について、研究の枠組みを規定する。また、大学が定めているガイドラインや支援の手引き等からも分析検証を行った。 学校心理学のモデル(石隈)に当てはめて構造化すると、一次的支援として、大学内の全ての学生を対象に行う支援を相談を専門としない大学教員が日常的に担っている。具体的には、入学時の適応支援(面接等を含む)、単位修得に関わる履修指導等の教学支援、学生生活全般に関わる相談支援、中途退学予防に向けた支援、を担っている。二次的支援として、担任・アドバイザーだけの対応ではなく、学内外の専門部署との連携が求められる。具体的には、長期欠席による単位不足、学習意欲が低下している学生の支援である。担任やアドバイザー教員が、連携を行い支援が求められることを指す。三次的援助支援は、休学や留年を経験した学生、発達障害や精神障害を抱える学生が対象であり、日常的で継続した支援が、学内の専門機関と連携して行われる必要がある。学校心理学の三段階援助支援に当てはめて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、文献資料から、国内の先行研究をレビューし、大学教育における「担任・アドバイザー等にとよる学生支援」の概念整理を行った。具体的な学生支援については、複数の大学から、ガイドラインや担任マニュアルを取寄せて、検証を行ってきた。次年度の実態調査に向けて、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策は、今回検証してきた 相談支援を専門にしない大学教員の学生支援モデルが、どのように行われているかについて実態調査を実施するための質問紙を作成し、修学支援を研究する連携研究者と相談しながら、進めていく。大学、短期大学に調査依頼し、質問紙調査を実施し、探索的研究を進めていく予定である。最終年度にむけて、学生相談支援を専門にしない大学教員が行う担任・アドバイザーによる学生支援モデルの検討等を重ねて、学校心理学の視点から、開発的・予防的学生支援モデルの検討を行う。また、どこの大学でも汎用できるように、調査対象者に、結果をフィードバックしながら、汎用性と応用性の検討も重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に、病気休職したため、使用できない金額が発生した。病気により、足に障害が残り歩行不能なため、インタビュー代調査膾炙へ依頼するなどし、代替え手段を用いて、研究を進めていく。
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