最終年度の研究成果は、二つある。 成果の一つ目は、大学教育におけるクラス担任制(以降担任制と表記する)の課題を明らかにしたことである。具体的には、担任の行う担任業務の課題を明らかにする調査を行い、KJ 法を用いて、【クラス担任制にかかる課題】【クラス担任による学生対応にかかる課題】【多様な学生への対応にかかる課題】の 3 つを実態として抽出した。 成果の二つ目は、担任に求められる学生相談スキルを検証し明らかにしたことである。先述の調査結果から、担任に求められるスキルを明らかにしたことである。具体的には、コミュニケーション力、指導力、相談時に必要な傾聴・聞く力、学生と学生に関わる情報の理解と把握などが確認できた。また、(相談時以外の姿勢〉については,「学生に関して気づける能力」、「こまめに,学生に気を配る」、「細かく.学生に目を配る」、「学生に親切に接する」,「学生に偏見を持たない」、「学生の名前と顔を覚える」、「こまめに,連絡する力」、「面倒見の良さ」、「学生と適度な,程よい距離感」などが挙げられていた。それらの結果から、教員側から積極的に学生に関わることと,学生の日常生活について気を配ることをクラス担任は重視していることが示唆された。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は、大学教育において、担任・アドバイザーと呼ばれる教員が行う学生支援の実態について明らかにした。これまで、担任・アドバイザーと呼ばれる教員が行う学生支援は、相談支援を専門としない大学教員が手探りで行ってきた。ゆえに、実態が明らかにされてこなかった。よって、クラス担任・アドバイザーと呼ばれる役割を担う教員の行う学生支援の実態について解明できたものといえる。
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