研究課題/領域番号 |
17K18652
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藏田 耕作 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00368870)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | オープンソース / バイオ実験ハードウェア / アクティブラーニング / バイオイノベーションマインド |
研究実績の概要 |
本研究では,バイオ技術分野のイノベーションを牽引できるような人材を育むために,主に小中高校生を対象とした新しいバイオ技術教育ハードウェア(以下,バイオウェア)を開発し,それがバイオ技術に対する興味や理解の形成に与える効果を調査することを目指している. 2019年度は実際にいくつかの教材を開発し,ウェブサイトに公開した.まず,実験用のコニカルチューブを立てるチューブラック,スライドグラス収納ボックス,メダカ観察ケースを完成させた.これらはレーザーカッターでMDFボードあるいはアクリル板を切断して,凸部(ほぞ)を凹部(ほぞ穴)に差し込むだけで簡単に作ることができる.また,消化酵素の実験などで用いることのできる比色計を開発した.オンラインで購入できる電子部品を組み合わせることによって,コネクター付きケーブルを差し込んでつなぎ合わせるだけで,はんだ付けを全く要することなく電子回路が組み立てられる.さらに,レーザーカッターで切ったMDFボードを組み合わせるだけで,安価に簡単にモノとしての完成度の高い比色計を作ることできるように設計が工夫されている.これらの教材の製作に必要なレーザーカッター用加工データ,プログラムなどを,詳細な写真付きの製作方法とともに,すべてウェブサイトで公開した. また,1月に旭川市で開催された日本生物教育学会のワークショップにこれらの教材を展示し,生物教育に携わる中高,大学教員から意見を収集した.さらに2月には,つくば市で開催されたMini Maker Fiareに参加し,教材の展示を行った.もの作りに興味を持つ一般市民や電子工作キットなどの販売を手がける企業などと意見交換することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に業者に委託してウェブアンケートを実施する予定であったが,業者の助言によって,回答率を高めるために郵送アンケートへ変更して自ら発送した.その結果,800件あまりの非常に多くの返信をいただいたので,その整理と解析に予定以上の時間を要した.そのために全体のスケジュールが後ろ倒しになっている.
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今後の研究の推進方策 |
研究全体のスケジュールの遅れと,2020年度に2度の開催が予定されているMaker Faireへの参加は成果を公表する機会として非常に有意義であることから,研究期間の1年延長を申請して認められた. 今年度は教材のさらなる開発を進めるとともに,高校教諭から意見収集したり,授業での使用をお願いしたりして改良を行う.レーザーカッターだけでなく3Dプリンターによって製作することのできる頭骨模型のデータなどへの要望もあるので,これらのデータ作成と公開を行う. 今年度のMaker Faireは京都と東京で開催が予定されている(ただし,新型コロナウイルスのために京都では中止が決定された).また日本生物教育学会ではワークショップの場が準備されると思われる.これらの展示の場を利用して,多くの意見を収集するとともに,オープンソースバイオウェアの取り組みについて認知度を高める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究全体のスケジュールの遅れと,2020年度に2度の開催が予定されているMaker Faireへの参加は成果を公表する機会として非常に有意義であることから,研究期間の1年延長を申請して認められた.教材のさらなる開発と改良を続け,展示会等への出展を行うことが研究を完遂するのに不可欠であるために次年度使用が生じた.
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