研究実績の概要 |
本研究では,バイオ技術分野のイノベーションを牽引できるような人材を育むために,主に小中高校生を対象とした新しいバイオ技術教育ハードウェア(以下,バイオウェア)を開発し,それがバイオ技術に対する興味や理解の形成に与える効果を調査することを目指した. まず,福岡県下の県立高校,広島県下の私立高校の生物教諭,大学で生物学の基礎教育に携わる教員に対して,実際の学科課程でどのようなバイオウェアが教育効果の向上に役立つのか,聞き取り調査を行った.つぎに,全国高等学校リスト(4,985校)から選んだ2,000校の教諭に対して,観察や実験の実施状況,教材や教具の利用の現状,求められている教材や教具の種類,技術的問題から製作を諦めている教材アイデアなどに関して郵送アンケート調査を実施した.返信のあった合計795件の回答を集計するとともに,自由記述については形態素解析とテキストマイニングの手法を用いて頻出する単語同士の関係性を解析した.このアンケート結果のまとめは,本研究の成果公表のために開設したウェブサイトに公開した. これらの調査をもとに,①チューブラック,②スライドグラス収納ボックス,③メダカ観察ケース,④比色計を開発し,ウェブサイトに公開した.いずれもレーザーカッターでMDFボードあるいはアクリル板を切断して,凸部(ほぞ)を凹部(ほぞ穴)に差し込むだけで簡単に作ることができる.また,安価に簡単にモノとしての完成度の高い教材を作ることできるように設計が工夫されている.さらに,環境刺激による条件付けの実験装置,動物頭骨の3D造形用データを製作中である. バイオウェアの製作に必要な加工データやプログラムなどを,詳細な写真付きの手順書とともに,すべてウェブサイトで公開した.また,日本生物教育学会のワークショップでの教材の展示,もの作りの祭典Mini Maker Fiareへの出展を行った.
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