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2018 年度 実施状況報告書

仮想(VR)・拡張(AR)現実化による平和学習の新たなスキームへのチャレンジ

研究課題

研究課題/領域番号 17K18657
研究機関長崎大学

研究代表者

全 炳徳  長崎大学, 教育学部, 教授 (10264201)

研究分担者 瀬戸崎 典夫  長崎大学, 教育学部, 准教授 (70586635)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード原爆 / 平和教育 / VR / AR / 教育コンテンツ
研究実績の概要

本研究は戦後,広島や長崎を中心に原爆を題材として実施してきた日本の平和教育を振り返り,培ってきた経験知を継承しつつ,近年のグローバル化と情報化に対応可能な「平和教育の新たなチャレンジ」を試みるためのものである。その主たる内容は情報機器の上に再現可能な仮想(VR)・拡張現実(AR)の技術を導入することであり,これらの情報技術を通じてデジタル世代やバーチャル世代と呼ばれる新世代に対応可能な平和教育の新たなスキームを提案することである。
本研究実績の内容を詳述すると,まず被ばく地域や被ばく遺構を対象に,原爆による被ばく前後,更には現在の様子を比較できる資料を完成している。原爆による被ばく地域の被ばく前後,また現在の様子を残っている当時の写真情報などから調査・判読・解析し,仮想(VR)・拡張現実(AR)により過去と現在を行き来できるコンテンツを作成している。これらのコンテンツは情報端末や情報機器上に再現するようになっている。
仮想(VR)コンテンツはHTCのvive proの情報機器上に運用可能なデータとして整備しており,拡張現実(AR)コンテンツはiPadやiPhoneなどの携帯端末に対応したシステムやコンテンツとなっている。これらのシステムやコンテンツは,最終的に新たな平和教育のカリキュラムとして作成し,平和教育の授業実施を通じて,その効果を確認する目的がある。
仮想(VR)・拡張現実(AR)コンテンツの対象地域としては被ばく地の長崎,その中でも甚大な被害を及ぼし今もなお爪痕が生々しく残っている城山地区を対象としており,教育効果の確認についてもこの城山地区周辺の学校を選んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の主な内容はコンテンツ開発と平和教育の授業実践とその評価である。本研究は昨年度から,新たに研究分担者が一人加わり,本研究の実施計画や総括及び拡張現実(AR)のシステム開発を研究代表者(全炳徳)が,平和教育の授業実践の部門と仮想(VR)コンテンツ開発の部門を研究分担者(瀬戸崎典夫)がそれぞれ担う実施体制としてスタートした。
現在までの研究推進の状況は,昨年度までに仮想(VR)・拡張現実(AR)のコンテンツ及びシステムの作成が完成している。仮想(VR)コンテンツとしては長崎・城山地区の被ばく前の戦前の町復元であり,HTC viveからバーチャルの町が確認できるようにしている。拡張現実(AR)のコンテンツはiPadまたはiPhoneのカメラから,長崎・城山地区の戦前のバーチャルコンテンツを確認することができるようにしており,携帯端末のカメラから見える現在の様子と復元した町との比較が可能になるようシステムやソフト開発を行なった。加えて,長崎の被ばく関連の写真情報を収集するとともに,写真と関連する被ばく遺構の見学や調査なども実施した。
現在までの仮想(VR)・拡張現実(AR)のコンテンツは初期段階での確認が終わっており,平和教育の授業実践のための確認とシステムチューニング作業が求められている。

今後の研究の推進方策

2019年度は研究の最後の年であり,完成したシステムのチューニング作業と仮想(VR)・拡張現実(AR)コンテンツの最終点検とともに,学校現場での実践授業を予定している。また,実践授業から得られた経験知を平和教育の新たなスキームとして作り上げるためのマニュアル作成も予定している。
平和教育の実践授業は長崎の城山地区の小中学校の中から選び実施することを考えており,同じような授業内容をもって,可能ならば,アメリカの小中学校でも実施を試みようと予定している。同じ内容による平和教育が日米間の子どもたちにはどのような形で受けられているかを比較したい。
仮想空間(VR)と拡張現実化(AR)による平和教育の新たなスキームがデジタル世代,バーチャル世代にはどのように形で受け止められるのか,その長所と短所をまとめつつ,学校現場で活用可能なマニュアルを完成しておきたい。

次年度使用額が生じた理由

本研究の実施は一年遅れをとっている。その理由は平成29年度に研究代表者が海外研究員としてアメリカのDePaul大学に6か月間滞在したためである。そのことから,コンテンツ開発やシステム開発の部分で半年の遅れをとっているため,次年度使用額が生じている。このようにして生じた次年度使用額については,最終年度の予定としていた平和教育の実践のための旅費やマニュアル作成の費用として使う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] A New Scheme of Peace Education "Peace Caravan"2019

    • 著者名/発表者名
      Hanako Mitsuoka and Byungdug Jun
    • 雑誌名

      GISUP 2019, International

      巻: 21 ページ: 21-24

  • [雑誌論文] Application Development for Peace Education Utilizing VR and AR2019

    • 著者名/発表者名
      Byungdug Jun and Norio Setozaki
    • 雑誌名

      GISUP 2019, International

      巻: 21 ページ: 43-46

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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