研究実績の概要 |
本研究では, 生涯にわたり成長をするために, 自己調整学習(self-regulated learning: SRL)を越えたフレームワークとしての新しい学習モデルを開発することを目的とする. 自律的学習方法と態度を育成するために, SRLが注目され, 国内外で多くの研究および教育実践が行われているが, SRLは, 基礎的な学習スキルを習得させるというリメディアル的要素が大きい. そのため, ICT活用教育, 一生学び続ける生涯教育を真に享受するための自律性, 継続性, 創造性を, SRLをベースには育成することは難しい. また, 21世紀型スキルや教育のオープン化, インフォーマル学習などの新しい教育の動向に適応するには限界がある. 本研究では, フォーマルとインフォーマルな状況で, 能動的に学び続け, 創造的でイノベーティブに行動する人材育成を可能にする新しい学習モデルの開発に挑戦する. 本研究の成果として, 現在の学習環境に適応した学習モデルを提案し, 生涯学習を享受するための素養を育成するための方向性を示すことができると考える.
平成30年度は, 平成29年度に行った国際的教育研究機関(ibstpi)のコンピテンシー開発モデルフェーズ1(文献と実践のレビュー)と, 抽出した学習の要素の関連性について, サーベイ調査と有識者レビューを行った. 体系的に整理した. モデル開発にあたり, キャリアアダプタビリティ, キャリアレジリエンスなど学校教育だけでなく職場学習を意識し学習の意義づけを確認した. また, フォーマル教育だけでなくインフォーマルな場面でも活用できる汎用性を意識してモデル案を策定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者が所属し, 協力を要請している国際的教育研究機関(ibstpi)が組織改編を実施しているため, 本研究への協力は最小限となった. しかし, ibstpi以外の国内外の有識者との意見交換を通し, 生涯教育のための学習モデルの要素を整理することができた. そこで, 研究全体としては,概ね順調に進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2019年度では, これまで整理してきた学習モデル案に対して, 有識者を対象にオンラインサーベイを行い, その妥当 性について検証する. また, ハ イパフォーマーに対し, 既存の 学習アセスメントと本モデル案との 関係を分析し, モデルの改善案を 作成する. また, 平成30年度で収集したデータを分析し, モデルの要素間の構造および既存の学習アセスメントとの関係性などを明らかにし, コンピテンシーおよびモデルを再構築する. さらに, 国内外の有識者やハイパフォーマーにヒアリングを行い, 新しい学習モデルの改訂と確定を行う. 本研究の成果を広く公表するため, 積極的に, 国内外の学会等で発表し, 積極的に研究成果の論文化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初, データの成形のためにアルバイト雇用を予定していたが, データ成形の方法の効率化を図ったため, アルバイト雇用が不要となった. 次年度は, 検証対象を拡大する予定であるため, オンラインサーベイ実施にかかる諸費用として計上する予定である.
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