本研究では、幼児期における支配的な関係が保育者にどのように認知されているかについて300名以上を対象に追跡的な分析を行うことができた。その結果、3歳児クラス以降に認知される「親密にみえる支配関係」は、「様子をみる」だけでは持続する傾向があり、5歳児クラスになってその関係を変えようと働きかけても変わりにくいことが明らかになった。こうした関係の問題性を感じながらも「どうしたらよいかわからない」という保育者が多く、子ども自身も葛藤を抱えていたことから、研究者との協働によって関係改善に向かった過程を分析し、具体的な方法と変化の要因のいくつかを明らかにできた意義は大きい。
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