研究課題/領域番号 |
17K18664
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
大橋 良枝 聖学院大学, 人間福祉学部, 特任講師 (50787702)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 投影性同一化 / 愛着 / 教師 / 学校文化 / 支援者支援 / Container-Contained / 集団力動 / ネガティブ・ケイパビリティ |
研究実績の概要 |
本研究は、知的特別支援学校における教員たちの実感に近い愛着障害児対応モデルを探索的に構築することを目的としたものである。そのためにまず、①申請者の知的特別支援学校での臨床活動から得られた2つのパイロット事例を基盤に、愛着障害児と教師の間に起きる問題力動を説明するモデルを構築した。 その後、②先述のモデルで強調されていない、愛着障害児に発達促進的関わりを持つための教師側の要因を検討するために、1人の愛着障害児に巻き込まれ疲弊した教員集団および、この愛着障害児を発達成長させた教員集団それぞれの観察とインタビューデータをKJ法を用いて分析した。そして、愛着障害児・教員双方が成長できるような関わりを持つための教員個人の要因を抽出し、またその要因を、巻き込まれから発達促進的関係性への転換プロセスの中に位置づけた。さらに、この研究では教員が愛着障害児との関わりにおいて「見通し」を持てることの重要性と持つに至るプロセスを示した。こちらは今論文執筆中である。 また③単一事例研究を通して、教師集団が攻撃性や愛着障害児からの投影物を抱えることで、間接的に愛着障害児が成長することを、ネガティブ・ケイパビリティ概念を用いて考察した。こちらは2018年国際学会での発表の中で、さらにこの力動の考察を深めたうえで論文化する予定である。 さらに、④教師が対応に窮する愛着障害児の興奮現象についての理論研究を途中報告として研究ノートとして公刊し、⑤愛着障害児の指導経験を持つ特別支援学校教師たちへのインタビューデータのM-GTAによる分析の途中経過の報告も行った。 そして研究での知見を現場に還元し、また、さらなる研究協力者を求めるために、小冊子「愛着障害と特別支援」を作成し、埼玉県内の教育委員会や特別支援学校、放課後等デイサービス職員や市役所等に郵送配布し、ネットワークづくりにも努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初期に良い理論モデルを形成できたと評価している。そのため、こちらのモデルについて各方面から多くのコメントをいただくことができ、まさに探索的に、それらに基づいて当初予定していた以外のいくつかの研究を立ち上げることができた。上記の②④がそれにあたる。多くのコメントや協力を寄せていただいたこともあり、モデルの精緻化が予想以上に進んでいると評価している。ただし、モデルが多面的になったため、今後の研究の推進法は計画とは異なるものになる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2017度は、前項の通り、予定していた以上に様々な要因についての検討を進めることができた。2018年度、これらの研究に基づいた介入を新たな学級集団及び教師を対象に行い、モデルを精緻化していこうと考えているのは、当初の予定の通りである。しかし、変数が複雑化しているため、実験的な操作よりむしろ、アクションリサーチの手法を用いるつもりである。 具体的には、第一段階として、ここまで得られた知見に従って、特別支援学校教員に対するスーパービジョンや申請者自身の臨床的介入を新規に学級編成が行われる2018年度初めから行い、観察・教師へのインタビューデータを用いた実験的複数事例研究を行う。それによって、今まだ統合されていない、いくつかの研究を統合したモデルを構築する予定である。 第二段階として、アクションリサーチを、上記の統合されたモデルの妥当性を検討することを目的として行う。 そのために、①評価すべき変数の同定と測定評価方法の検討(1学期)、②研究協力者の決定(対象となる愛着障害児童生徒の抽出と研究依頼)と実施準備(1学期末から夏休み)、③2018年2学期開始に合わせリサーチの開始。研究協力者と対象となる児童生徒のアセスメントを申請者が行い「モデルに準じた指導ができたか」「指導を行えた場合、その手ごたえ、反応、工夫した点など)」「指導を行えなかった場合その理由」といった記述や、①で同定された測度への回答結果を研究協力者に報告してもらう。また、週1回、毎日の資料に基づいた研究協力者とのディスカッションの時間を設ける(メールかSKYPE)。④上記のデータに基づいてモデルの修正を行う。 現在すでに、第一段階の調査が上記の通り始まっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
11円であれば特に説明の必要ないものと考えます。
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