研究課題/領域番号 |
17K18665
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
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研究分担者 |
森本 容介 放送大学, 教養学部, 准教授 (00435702)
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20323199)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
久保田 善彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (90432103)
望月 俊男 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (50379468)
近藤 伸彦 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (10534612)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 教育工学 / プログラミング教育 / ラーニング・アナリティックス / 学習支援システム / 機械学習 / 変容的学習 / 真正の学習 / GIGAスクール |
研究実績の概要 |
これまでボランティアのプログラミング倶楽部において、子どものプログラミング活動を観察した結果、多くの子どもが独自のプログラムを作るよりも、お手本のプログラムをもとに作成・改良することが分かってきた。これよりプログラミングの習得過程について、模倣 - 改造 - オリジナル開発のサイクルで学習が形成されるモデル化を行った。そして、前年度開発した初心者用教材や他の既存のプログラミング教材だけでは、特に1~3年生の低学年において模倣を十分行うための量が不足することと、また入門から中級まで連続した教材も不足していることから、2019年度に40本以上のサンプルプログラムから構成される教材集の開発を行った。この教材集を国内の複数のプログラミングクラブで利用し始めたところ、ドロップアウトが低下するとの報告が多く得られている。 また、プログラミングの学習活動の分析、予測については、オンラインショッピングや映像配信サイトなどで利用が進んでいる、過去の購入や視聴などの内容から、最適なおすすめ情報を提供する機械学習をベースとするリコメンドシステムの学習分野への応用システムの基本設計も完了している。また、2020年度には多くの学習履歴を収集するため、上記教材の印刷を行い複数のプログラミング倶楽部での利用と学習履歴の収集を行う予定であったが、新型コロナ禍の状況の中、プログラミング倶楽部自体の開催が困難で十分な学習履歴が集まっていない状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前述したように、子どものプログラミング活動のモデル化ができたことと、そのモデルの模倣-改造過程に適した教材を開発できたことにより、プログラミング活動の最大の問題であったドロップアウトを回避できはじめたことと、プログラミング学習における漸進的目標形成モデルの基本的な姿が明確になった。 また、リコメンドシステムを応用することで、漸進的目標形成モデルをベースとした、学習支援方法とその実装について目途が付き始めた。 現在、これらのシステムについて開発中であるが、学習記録については、実際に教材を複数のプログラミング倶楽部に配布し、紙ベースでの学習状態の記録や、Scratchコミュニティ上での過去のプログラミン内容の手作業での収集を依頼したが、新型コロナ禍の状況の中、十分な数の子どもの学習履歴が収集できない状態が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ禍の影響で、本研究の実践現場であるプログラミング倶楽部の活動が全国で中止している状態であり、履歴の収集や、システムの活用が困難な状況である。一方、2020年度より小学校のプログラミング教育が始まり、また児童・生徒に1台ずつPC等を配布するGIGAスクール構想も2021年度には多くの市町村で本格利用が始まりつつある。このため、従来想定していた実践の場であるプログラミング倶楽部から、新型コロナ下でも授業が実施される小学校のプログラミング教育へと、実践の場を変更する予定である。このため、現在、協力してもらえる学校を探している段階であり、その後、教材を利用した学習履歴の収集と、学校教育向けシステムとして漸進的目標形成モデルをベースとして,リコメンドシステムを応用して学習者に適切な次の学習レパートリーを提示することのできる学習支援システムの構築を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Coder Dojoというボランティアで行っているプログラミング教育の場でデータを取得する計画であったが、新型コロナ禍のために開催が中止になり、データ収集を実施できなかったので、その実施に伴う費用が残った。
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