| 研究課題/領域番号 |
17K18668
|
|---|
| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
|---|
研究代表者 |
松崎 敦子 慶應義塾大学, 先導研究センター(三田), 特任助教 (40792297)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
| キーワード | 保護者トレーニング / ペアレントトレーニング / 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / アプリ / テレヘルス / 地域支援 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では，第1に自閉スペクトラム症児（ASD児）の初期コミュニケーション発達を促進する方法を保護者に指導するトレーニングプログラムを開発し，その効果を検討する．このトレーニングにおいて，保護者はアプリ教材を用いて講義を受講し，その後トレーニング実施者から30分のコンサルテーションを個別的に対面で受ける．そして第2に，地域で発達支援に従事している臨床家をトレーニング実施者として養成し，各々の臨床現場で本トレーニングを実施していただきその効果を検討する．その際，実施者はテレヘルスシステムを介して研究者からいつでもコンサルテーションを受けられるよう環境を整備する．トレーニングの効果は，保護者の行動，子どもの発達，親子の心理の3点から客観的に明らかにする．
2017年度にはトレーニングで使用するアプリ教材，講義ビデオ，評価バッテリー，実施マニュアルを完成させ，その効果を検討した．そして2018年度には，医師1名，臨床心理士2名，言語聴覚士2名，理学療法士1名を，トレーニング実施者として養成した．実施者トレーニングではマニュアルとロールプレイで実施方法を説明した後，保護者へのコンサルテーション場面を見学していただき，トレーニングに必要な知識およびコンサルテーションスキルを指導した．その後11名の保護者を対象にそれぞれの臨床場面で保護者トレーニングを実施していただいた．その結果，参加児全員の発達月齢，発達指数，理解語数，表出語数が増加し，50％の保護者の育児ストレスが減少した．また，実施後の保護者へのアンケートにおいて，トレーニングプログラムの高い社会的妥当性が示された． さらに実施者へのアンケートでは，指導内容および実施方法は明確であり，実施の負担は少なかったことが示された．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り，支援プログラムの開発，実施者養成，実証研究が進捗している．
2019年度以降の研究につなげるための臨床家および実施機関との協力体制も確立しており，継続研究の環境は整備できている．
|
| 今後の研究の推進方策 |
2019年度においては，2018年度に得られた研究結果を，研究参加者を増やしてさらに発展させる予定である．また，保護者トレーニングプログラムは画一的なものではなく，地域の特徴や実施者の要望に応じて柔軟に対応できるオプションを作成する．さらに，研究は介入と評価を連続的に繰り返し，評価尺度間の関係，多方面にわたる支援効果の波及などの分析を行う．
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者および連携研究者と物品を共有することができたため，新たな物品の購入が不要になった．2019年度は，研究参加者をさらに増やすため，その人件費・謝金の費用に充てる．
|
