研究課題/領域番号 |
17K18669
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安藤 寿康 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30193105)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 教育学習 / 個体学習 / 観察学習 / 脳機能 / fMRI / 運動学習 / 教育の進化 / 言語理解 |
研究実績の概要 |
この研究計画はもともと個体学習、観察学習、教育学習の三条件比較を想定していたが、教育脳に直接かつ効率的に迫るには、個体学習(無指示学習、あるいは自発的学習)条件と教育学習(有指示学習、あるいは教育エージェントとのインターラクションあり条件下の学習)を対比させるほうが望ましいという着想を得て、実験課題の検討を行ない、指の運動学習の結果をふまえて、新たに言語理解を用いた実験課題の開発を進めた。すなわち韻文(古典短歌と現代短歌)と散文(文学的文と非文学的(社説や科学記事など))を、それぞれ無指示(個体学習)条件と教育的指示(読むときの視点の指示を出す事前条件と、読み終わったときに評価をすると伝える事後条件)条件とで比較するという課題である。 2019年度はこの課題素材の開発と、大学生を対象に集団で行動実験を行い、素材文が実験者の意図を反映するかの確認と回答時間の推定を行なった。その結果、素材文の提示形式の修正と、教育条件の再検討が必要であることがわかり、その作業を実施した。 それをfMRI課題として実装し、予備実験を行なったうえで本実験を行なう段階で、協力機関である玉川大学でのfMRIの利用ができなくなったため、本実験の実施を2020年度に繰り越して行なうこととした。 なお初年度に実施した指運動学習による個体学習、観察学習、教育学習の三条件下の脳活動の比較に関する結果(個体学習は個人差が大きい、観察学習では社会脳が、教育学習では前頭前野の賦活が認められる)を追加解析し、その論文執筆をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個体学習、観察学習、教育学習が運動学習のもとで異なる脳活動を誘発することを示すという当初の目的を示すことはできたが、それをより一般化させるための新しい課題開発まで進んだところでfMRIの計測利用ができなくなり、2020年度に持ち越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に開発した実験課題を、新型コロナウィルス感染危機が収束し、玉川大学のfMRIが使用できるようになり次第、直ちに実施して結果を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい課題開発まで進んだところで年度末の玉川大学の機器の混雑、ならびに新型コロナウィルス感染危機対応のため、fMRIの計測利用ができなくなり、2020年度に持ち越すことになった。そのために協力者に支払う交通費や謝金等が執行されなくなったことが理由である。2019年度に開発した実験課題を、玉川大学のfMRIが使用できるようになり次第、直ちに実施して結果を得る。
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