研究課題/領域番号 |
17K18671
|
研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
平川 俊功 東京家政大学, 人文学部, 教授 (20590003)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 養護教諭 / 育成指標 / 現職研修プログラム / 効果的な研修 / イギリスの教師教育 |
研究実績の概要 |
1年次は、WEBで公開されている範囲で、教員の育成指標及び養護教諭の育成指標について調査し、特に、養護教諭に特化した育成指標の項目は、「保健管理」「保健教育」「健康相談」「保健室経営」「学校保健組織活動」を設定していることを明らかにした。 2年次は、養護教諭に特化した育成指標に基づく研修プログラム開発のための研究として、研修で得た知識を現場で生かすための手立てについて、研修に関する研究者へのヒヤリングを行った。その結果、研修参加者が研修での学びを現場で生かす(転移)ための条件として「適正」と「処遇」「課題意識」「個人差」などを考慮する必要があるという手がかりを得た。そそれを手がかりとして、養護教諭に特化した育成指標を構成する項目について、「個人差」及び「実践力の状況」「処遇」について調査し、その結果を参考に研修プログラムを検討することにした。2年次の11月までに調査内容の検討及び調査用紙の作成を行い、1月に全国の小・中・高等学校・特別支援学校の養護教諭対象に調査を行った。2019年2月20日までに調査対象者から回答を返信してもらい、現在、結果の集計・分析中である。並行して、3月に、現在エビデンスベースで教師教育を実施しているイギリスのロンドンの教育機関に調査に入った。その調査結果を参考に、我が国の教師教育(特に養護教諭)の研修プログラムの検討を進めるにあたっては、「メンターの活用」「派遣型・プロデュース型」「成果のあった研修(学びの方法)のデータの集積」の3点に着眼すると効果的であることの示唆を得た。 実施した調査結果とイギリスの教師教育の調査結果を参考に、3年次には現職養護教諭の研修プログラムを検討し、各自治体に報告書を配付する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、養護教諭の育成指標作成も計画していたが、1年次の研究途中で「育成指標は各自治体が作成するもの」として作成しないことにし、どの自治体にも共通する養護教諭に特化した育成指標を構成する項目に着目して情報を収集し、現職養護教諭研修プログラムの検討のための基礎データ作成作業を進めたことがよかった。研修の効果測定に関する論文や研究者に出会うことができ、また、イギリスでの調査によって効果的な研修プログラム作成のための有用な観点が明らかにできたことが、研究の展望を拓かせた。 一方、全国規模の調査を実施するにあたり、調査項目に対する倫理審査及び実施後のデータ解析に思いのほか時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
2年次に実施した調査結果を参考に、「個人差」「学びのニーズ」「考慮すべき処遇と適正」を観点として現職養護教諭の研修プログラムの開発を試みる。また、イギリスでの調査結果を参考に、現職養護教諭の研修を進めていく上での主催者の具体的な工夫点なども提示したい。 当初は、開発した研修プログラムの妥当性をも検証する計画であったが、3年次は、現職養護教諭の研修プログラム開発の基礎資料とアイデアの提示にとどまる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
全国規模の調査を実施し、3月中にそのデータ解析を3社に分担して外部委託する予定であったが、1社のみ3月中に作業を終え、残り2社は年度をまたいで作業を進めているため、3月中に支払いができず、次年度に作業が終了した時点で支払うため。
|