研究課題
いじめに関する国際比較研究は僅少である。近年のいじめの典型例であるネットいじめ(cyber bullying)に関しては、まだ研究の端緒であり、国際比較されたものは皆無である。本研究では世界各国で同時期に実施することを想定したネットいじめの国際比較の基礎データとなる質問紙の作成を最終的な成果とする萌芽的な研究である。本研究グループは前の科学研究費(B)15H03491において実施した京滋の高校生66,399人を対象としたネットいじめに関する大規模アンケート調査の結果を主にアメリカ、カナダ、イギリスの研究者および教育関係者と打ち合わせを行い、①各国のネットいじめの共通点として、相手個人を名指しで誹謗中傷するいじめから、個人名がわからない形で誹謗中傷を行う、いわば「さらして笑う」間接的ないじめに移行しはじめていること、②ネットいじめへの対応策として家庭との連携を密にし、子どもたちへの啓発活動を行うイギリスや、教育委員会を中心に啓発活動を実施する韓国など、対応策は国によってその地域の特色が大きいことが明らかとなった。研究の最終年度となる令和元年度はとりわけアメリカとカナダ、イギリスの調査関係者との調整を行い、カナダ版、イギリス版およびアメリカ版の質問紙の作成を行い、年度末に大規模調査の質問紙の印刷を行った。一方で、東アジア地域の質問紙の作成も一定の調整が行われ、ひとまず日本版の質問紙と欧米版との比較が可能な質問紙が完成した。これをもとに、昨年度から計画している大規模調査へと展開することを企図している。
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