研究課題/領域番号 |
17K18678
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
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研究分担者 |
本田 久平 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (40342589)
長谷川 由美 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (40585220)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 日本手話 / 指文字 / 類型 / くずれ / クラスタ分析 |
研究実績の概要 |
研究計画に従い,次のようなテーマを重点的に推進した. 1. 習熟者の指文字の表出の分析と崩れのモデル化:前年度に収集した日本手話の母語話者や習熟度の高い話者計9名による指文字の表出データを分析し,その崩れの傾向をまとめた.その結果,次の指文字がなにかに依存しない手指の崩れ(A)と,前後の指文字の手指形状が影響したような崩れ(B)がみられた.当初はこの2つをその程度をパラメタ化したような線形変換でシミュレートするようなモデルを検討していたが,パラメタ設定が煩雑で,その推定が難しくなることが予想された.そこで,掌と手の向きごとに分割した手指に対して生理構造の観点で最も安定的(楽)な手指の状態を策定し,Aはその最も安定的な手指に近づくこと,Bは前後の指文字に近づくことで表すこととした.その結果,形状間の一種の重み付き平均のようなかたちで崩れた手指形状をモデル化できる.このモデルであれば,掌と手の向きごとに2つのパラメタで表される. 2. 指文字間の錯誤に基づいた部分形状を活用した指文字の新しい類型化:昨年度までで日本手話の初学者の誤りの一部は,捨象されやすい手指形状の特徴があり,残された部分形状が類似するものの間で起こりやすいことがわかっている.そこで,この部分形状で指文字に対してクラスタ分析を行い,手話教育専門家による前後編集を経て,29の指文字に対して9つの類型を与えた.この類型を,別途収集した初学者の指文字の誤りを活用し,誤りの予測・抑制という観点で評価し,その有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
母語話者・習熟者から得た実際の手指形状データを観察,分析の結果,指文字の崩れに関するモデルを再構築することとなり,それに時間を要したためである.
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長の1年で,研究計画の最終年度分を推進する.崩れのモデル化を実装し,成果発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
母語話者の手指形状データ収集や指文字の崩れに関するモデルを再構築に時間を要し,計画全体が後ろ倒しとなった.次年度の被験者実験や成果発表に充当する.
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