研究課題/領域番号 |
17K18687
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
二井 正浩 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (20353378)
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研究分担者 |
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
原田 智仁 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 名誉教授 (90228651)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | グローバルヒストリー / 世界史教育 / 歴史教育 / ESD |
研究実績の概要 |
本年度は,Integrated History and Future on People on Earth (以下,IHOPE,本部,スウェーデン,ウプサラ大学)の取組について分析し,そこに見られる歴史教育でのグローバル化や持続可能性といった諸問題に対応する資質の育成視点について整理した。その結果,IHOPEの主張するインテグレイテッド・ヒストリーは,①社会の持続可能性と脆弱性をもたらす相互作用への問題意識という視点,②社会システム・地球システムなどの統合的な視点,③地球の生物物理学的なシステムに着目することによって人間を地球システムの一部としてとらえる視点,などを重視する特徴が明確になった。 また,このIHOPEの①~③の視点と類似すると思われるBig History Project(D.Christianを中心にして,オーストラリア,合衆国等で展開)の授業やカリキュラムとも比較を行い,IHOPEの取組との異同について分析した。その結果,Big History Projectはそれ自体が教育的なリソースとして開発されたものである一方で,IHOPEはあくまでも歴史学研究における現代的なアプローチの提唱であることが特徴付けられた。 このIHOPEの具体的な歴史研究として,有限で枯渇性資源である水と人間の営みの地域性と歴史的変化を探究した共同研究が実施されているが,本年度は,この研究を歴史教育内容開発に生かすことを検討した。これによって,授業モデルのイメージはある程度固まってきた。今後は,IHOPEのアプローチの歴史教育カリキュラム構築への示唆を探りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の採択が6月であった一方,7月から年末にかけて諸般の事情により研究代表者が長期休業を余儀なくされたことなどのため,研究の具体的なスタートが遅れてしまった。その為、当初の計画では初年度から積極的に海外調査を行う予定であったが、本年度は文献調査が中心になってしまった。 従って、研究当初に明示した研究の目的については,現在、以下のような進捗状況にある。 ①カリキュラムモデルと授業モデルを開発するという目的については,授業モデルの開発の手がかりがつかめた。カリキュラムについてはこれからの課題となる。 ②地理歴史科の統合科目として新設された「歴史総合」への具体的な生かし方の検討は,これからの課題となる。 これらの課題については、引き続き文献調査をするとともに、これからは海外調査によって直接IHOPE関係者へのインタビューなどを行い明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
IHOPEのアプローチを歴史教育カリキュラムにどう生かすかについては,まだその手がかりがつかめていない。今後は,IHOPEの関係者に直接インタビューをすることなどを通じて,歴史教育カリキュラムの改善の視点を探る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の計画が諸般の事情で文献および資料整理を中心とするものとなってしまった。本年度は昨年度の遅れを取り戻すよう計画的に調査等を遂行したい。
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