研究実績の概要 |
OECD生徒の学習到達度調査(PISA:Programme for International Student Assessment, 以下PISAと呼ぶ)では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3つの分野の認知テストの成績を問題とする。しかしテストを解くためには問題文を読む読解力は不可欠であり、読解力の問いについても内容の如何によっては他のリテラシーが関係する。本年度、まず、原点に立ち返って、3分野間の得点の相関を検証したその結果、日本のPISA2003からPISA2015の5回の調査データにおいて、すべての分野の得点の相関はいずれも78%以上の高い相関であった。そのことから、真のリテラシー得点を抽出することは容易ではないと理解した。 そのことを踏まえ、PISA2015の科学的リテラシーを材料として、各問の正答率と無答率から評価の枠組みの下位要素についての分析を行った結果を要約すると、日本の生徒の強みと弱みについては、内容では個人的及び地球的文脈での健康と病気について、また、地域的・国内的な文脈での先端の科学と科学技術について解答に困難を感じると共に正答率も低い。解答形式が論述形式の場合には内容や文脈に関わらず解答に困難を感じ、正答率も低い。また、平均無答率が10%以上の24の問いの特徴からは、文脈では個人に関連する状況での健康と病気の領域の割合が高く、出題形式では論述形式の約4割で無答が10%を超えることが分かった。
|