研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は、これまでラットを対象に主にレバー押しやノーズポークによる自由オペラント場面で進められてきた動物メタ認知研究を、ラットにとってより自然である迷路を活用した触覚見本合わせ課題で実現させることを目指す。これにより、ラットの訓練期間の大幅な節約(6ヶ月から2ヶ月へ)と、脳神経細胞の記録との両立を可能にする。結果、ラットは触覚見本合わせを学習できること、また、課題遂行中に見本を再確認するような行動が観察できた。このことから直ちにラットがメタ認知様行動を示したと結論できないが、適切な統制実験を追加することで、ラットのメタ認知を示すことができると考えられる。
生物心理学
ラットを使ってメタ認知を示すことで、その神経機構まで踏み込んだ研究が可能である。私たちはすでに、位置記憶を使った研究でラットのメタ認知を世界で初めて示すことに成功しているが(Yuki and Okanoya, J. Exp Psychol.)、位置記憶課題では訓練に数ヶ月かかるところ、今回の萌芽研究によって触覚を手がかりとした迷路課題を開発し、訓練期間を2ヶ月に短縮できた。メタ認知の神経機構をヒトとラットとで比較することで、学習全般の理解を進めることができる。