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2017 年度 実施状況報告書

特殊詐欺状況下における中高年者の意思決定過程の解明と詐欺防止策の提言

研究課題

研究課題/領域番号 17K18696
研究機関東京工業大学

研究代表者

永岑 光恵  東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (80392455)

研究分担者 曽雌 崇弘  国立研究開発法人情報通信研究機構, その他部局等, 研究員 (00381434)
竹内 あい  立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
福田 恵美子  東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワードアイオワ・ギャンブリング課題 / 時間的プレッシャー / 不安感 / 皮膚電気活動
研究実績の概要

本研究の目的は、振り込め詐欺やその他の商業詐欺の被害者となる可能性の高い中高年者の保護や予防対策を実験心理学および実験経済学の融合的アプローチにより総合的に解明し、詐欺防止策を提言することである。本年度は1年目として、以下の2つの研究グループに分かれて、①実験心理学グループでは、「騙されやすさの個人差の基盤解明」および「騙されやすさの環境的要因解明」に向けた実験を行い、②実験経済学グループでは、「特殊詐欺を模したゲームモデルの構築」に向けた文献調査を行った。
①実験心理学グループでは、「Iowa Gambling Task(アイオワ・ギャンブリング課題:IGT)」という意思決定課題を用いて、不安感と時間的プレッシャーが意思決定に及ぼす影響を予備実験では16名、本実験では27名の10代から20代の若年者を対象として検討した。予備実験においてコンピュータ版IGTの動作確認を行った後、本実験においては、課題遂行中の皮膚電気活動の同時計測を行った。その結果、試行を繰り返すうちに、次第にローリスク・ローリターンのカードの山を選択するようになり、先行研究の知見を再現することができた。そして、不安感と時間的なプレッシャーの影響に関しては、ともに選択行動に有意な影響は認められなかった。一方、皮膚電気活動は時間的プレッシャー下で有意に上昇した。
②実験経済学グループでは、「特殊詐欺を模したゲームモデルの構築」に向けた文献調査を行った。その結果、まず、嘘をつく側の行動についてはGneezy(2005)をはじめ行動経済学の分野で多くの研究が行われており、様々な嘘の種類について人々が嘘を避ける要因が特定されてきていることがわかった。一方、本研究の対象である嘘をつかれる側の行動に関する研究はあまり行われていない。今後、嘘をつく側の行動の知見を基に、騙される側の行動を分析できるモデルの構築が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験心理学グループで当初計画してた若年者と中高年者それぞれ35名程度ずつを対象とした実験を完了することができたなかったため、やや遅れている状況といえる。その主な理由は実験環境の設定に予想以上の時間を要したことである。具体的には、IGT課題遂行における選択反応計測用のレスポンスパッドとPCの相性が悪く、レスポンスパッドをPCに認識させることができなかったことが挙げられる。そのため、マウスによる反応計測への変更を検討したものの、当該PCが予定していた実験の直前に故障したため、新たにPCをもう1台購入し、再度セットアップを行うことになった。
また、実験経済学グループで当初計画していた、新たなモデルの構築までは進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

実験心理学グループにおいては、若年者の対象者数を増やすとともに、同数の中高年者を対象としたIGT実験を実施し、若年者と中高年者の反応の比較を行い、「1.騙されやすさの個人差の基盤解明」および「2.騙されやすさの環境的要因解明」を進める。前者の研究1については、不安感以外の心理的側面および生理的側面として計測した皮膚電気活動のデータ解析を進め、個人ごとのリスク選択特性との関係性の解明に取り組む。その後、研究1と2の成果を発展させ、「騙されやすさの客観的評価指標の開発」に取り組む。
また、実験経済学グループにおいては、「特殊詐欺を模したゲームモデルの構築」を進めたうえで、経済実験の実施を目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画通りに実験が進められなかったため、主に謝金などの人件費が残ったことと産休・育休中の分担者の研究費が未使用であったため、次年度以降に使用する。具体的には、IGT実験の実施における実験参加者への謝金および実験補助やデータ解析補助を担当する研究協力者への謝金、研究成果発表のための学会参加費及び出張旅費に支出する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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