研究課題/領域番号 |
17K18696
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永岑 光恵 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (80392455)
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研究分担者 |
曽雌 崇弘 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部, 室長 (00381434)
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
福田 恵美子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 意思決定 / 時間的切迫 / 心理的不安 / リスク選好 / 自律神経反応 / 独裁者ゲーム / 利他性 / 貢献度評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、振り込め詐欺やその他の商業詐欺の被害者となる可能性の高い中高年者の保護や予防対策を実験心理学および実験経済学の融合的アプローチにより総合的に解明し、詐欺防止策を提言することである。本年度は4年目として、実験心理学グループでは、生理反応のデータ解析に注力するとともにコロナ禍前に実施した実験の高年参加者に結果の概要を報告した。実験経済学グループでは、昨年度までの研究を論文にまとめるとともに、コロナ禍の影響で対面での実験の実施が難しくなったため、オンラインで実験をするための方法を習得した。 【実験心理学グループ】コロナ禍前に追加で行った若年者の生理実験データ(皮膚コンダクタンス反応)と、異なる若年者群の既存データを用いたモデルアプローチによる論文を作成している。結果をまとめると、連続的な早い意思決定過程中の生理反応をモデル近似法により抽出したところ、不安尺度スコア、ならびに意思決定の行動パターンと皮膚コンダクタンス反応の間に有意な関係性が見いだされた。このようなモデル近似方法を用いた意思決定研究は先行研究では見当たらず、新規性が高い研究である。 【実験経済学グループ】昨年度までに行った実験研究の結果をまとめ、論文を執筆した。また、必要な追加実験はこれまで想定していた対面での実験がコロナの感染拡大防止の観点から難しいため、オンラインでの実験の実施が必要となった。そのため、今年度はオンライン実験実施に必要な技能の習得に費やした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験心理学グループは、新規の分析方法を用いて皮膚コンダクタンス反応データを分析し、論文執筆を進めたが、当初予定していた論文投稿までは実施できなかった。また、実験経済学グループでは、学会などでの報告に対するコメントを参考に、論文に必要な改訂を行い、投稿のための準備をしている。このため、やや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
【実験心理学グループ】 意思決定課題中の不安状態変化の自律神経反応によりモデル化する方法に関する論文を5月初旬に初稿を書き終え、海外の査読付きジャーナルに投稿予定である。また、昨年度延期となった国際学会で若年者と高年者の意思決定過程の相違に関する成果を発表するとともに、その内容を論文にまとめ、成果を公表する。 【実験経済学グループ】実験心理学グループと同じように、論文を改訂し英文査読付き雑誌に投稿する予定である。また、2020年度実施予定であった対面実験は実施できなかったため、新たに習得したオンライン実験の手法を用いて、追加実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【実験心理学グループ】次年度使用が生じた理由は、コロナ禍の影響で、大学での授業運営に多くの時間を要し、研究時間の確保が叶わなかったことと、実験データの解析に予定以上の時間を要したことで英文雑誌への投稿が間に合わなかったからである。そのため残額は、成果報告として英文雑誌への投稿にかかわる経費(英文校正費、学術誌掲載料)に充てたい。 【実験経済学グループ】コロナの影響で、これまでの研究手法では追加実験が実施できなくなったため、新しい手法を学習するのに時間を要したため。
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