研究課題
自閉スペクトラム症者(以下、ASD)における作り笑いの理解について検討した。作り笑いは、可笑しみを伴う自然な感情ではなく表面的・意図的な笑顔による笑いと定義される。研究協力者はASD者10名と定型発達者(以下、TD)16名の計26名であった。作り笑いとは何かという定義に回答し、社会的スキル尺度項目(kiss18)を評定した。また、自然な笑い26枚、作り笑い26枚の合計56名の表情画像について、作り笑いか否かの判断をもとめ、これらの画像を見る際の視線分析をおこなった。その結果、作り笑いについてASD群・TD群共にその定義は共通していた。作り笑いの判別は、TD者の方がASD者よりも正確であり、社会的スキル尺度との正の相関がみられた。ASD群のなかで、作り笑い判別率の高得点者と低得点とのあいだの視線の違いがみられた。作り笑いの理解に関するこれらの結果について、直感的/命題的心理化および弱い中枢統合性の観点から考察された。
3: やや遅れている
コロナ禍において、新たな研究データの収集が困難であったため、研究対象者数は十分ではないが、これまでのデータについて分析した。
コロナ感染予防対策の状況をふまえ、オンライン調査の可能性等も探りつつ研究計画をすすめる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Bulletin of Center for Clinical Psychology and Human, Kyushu University
巻: 12 ページ: 35-40