研究実績の概要 |
乳児の睡眠と感覚運動機能の発達については、月齢10か月時の就寝時刻と月齢24か月までの神経発達の関連を検討した結果, 遅く寝る子どもほど粗大運動や微細運動が発達しにくいという報告(奥村・高貝, 2016)がある一方, 乳児期に夜間の睡眠時間が長いことや, 断続的な睡眠が必ずしも発達に良い影響を及ぼすとは限らないという報告 (e.g.,中川・鋤柄, 2016) があり, さらなる検討が必要と考えられる。そこで本研究では、睡眠・覚醒リズムの形成段階にある月齢3か月から6か月にかけて, 睡眠と感覚運動機能の関連を縦断的に検討した。睡眠は加速度センサー(アクチグラフ)を各月齢の最初の5日間、児の足首に装着して調べ, 感覚運動機能は,月齢6か月時点で確認できる9項目(寝返りの頻度とそのパターン, リーチングの頻度など)について質問紙を用いた。 30名の乳児について相関分析を行った結果、月齢3か月では, 睡眠効率(昼間期)と哺乳時の吸い付きの程度に正の相関 (r=.428, p<.05) が認められた。月齢4か月では, 動睡眠時間 (昼間期),睡眠時間 (昼間期) と視性立ち直り反射 (右) に正の相関 (r=.401, p<.05 ; r=.369, p<.05), 最長覚醒時間 (昼間期) と視性立ち直り反射 (左・右) にそれぞれ負の相関 (r=-.594, p<.01 ; r=-.487, p<.01) が認められた。月齢6か月では, 睡眠効率 (昼間期) と寝返りのパターンに負の相関 (r=-.429, p<.05), 睡眠効率(夜間期)と寝返りの頻度に正の相関 (r=.550, p<.01)が認められた。本結果から、乳児期前半と後半では良好な睡眠が異なる可能性が示唆された。
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