2019年度に得られた知見は,以下の通りである. (1)前年度までに作成した運動イメージ生成評価尺度:ブラインドサッカー版ESMI-BS(Evaluation Scale of Movement Imagery:Blind Soccer version)を成果公表し,研究評価を得た.その結果,信頼性と内容妥当性,実用性は確認されたが,基準関連妥当性は累積データを踏まえた再検討余地が残された. (2)ESMI-BSを活用した運動イメージ生成指導法を中学生選手と初学児童に適用した.その結果,量的データからは,ESMI-BS得点の上昇とブラインドサッカー動作スキルが随伴的に向上することが確認された.質的データからは,中学生選手の練習意欲と自己効力感の向上,初学児童のボール運動への楽しさと対人認知スキルの向上が確認された. (3)最終年度という点を踏まえ,本研究課題で得られた知見の総括,および,今後の課題の整理を行った.本研究課題で得られた知見と精力的に国内外の情報収集した結果を踏まえ,ESMI-BSは先天全盲選手の運動イメージ生成スキルの特徴把握のための国内外初となる測定ツールになり得たのではないかと推測された.そしてこの評価基準は,先天全盲選手と後天全盲選手の比較にも役立つことが確認された.今後は,大量データの累積・収集に取り組み,得られた知見の一般化を目指すこと,および,先天全盲選手向けのイメージトレーニング法を体系化することが主な課題として残された.
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