研究課題/領域番号 |
17K18719
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山田 郁子 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 開発技師 (60568723)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 発達障害 / 動物モデル / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、マウスの行動表現型を多面的に評価する行動解析テストバッテリーを用いてヒト発達障害患者の病態に即した動物モデルの開発を行うとともに、発達障害モデルに特有の生理学的・生化学的マーカーの探索を試みることを目的としている。 平成29年度は多面的病態評価システムを用いた発達障害モデルマウスの開発を行った。研究代表者は平成25-26年度の挑戦的萌芽研究において「マウス発達障害モデルの多面的病態評価システムの構築」として発達障害の多様な症状に応じた多角的な行動テストバッテリーを構築した。情動性のテストとしてLight/dark transition test、新奇場面での自発活動性のテストとしてOpen-field test (OF)、社会性のテストとしてCrawley’s social interaction test (CSI)、居住環境での活動性テストとしてHome-cage activity test (HA)、固執性のテストとしてY-maze、学習・記憶のテストとしてFear conditioning test、感覚調整機能のテストとしてPre-pulse inhibition testから構成されている。このテストバッテリーを用いて、ENUにより作出されたGrin1-ミスセンス変異体、Shank2、Nlgn3のノックアウト(KO)変異体について解析を行った。 その結果、OFでは3系統すべてで高活動が見られたが、HAではNlgn3 KOは高活動を示さなかった。また、CSIではGrin1とShank2 KOでは社会性の低下がみられたが、Nlgn3では低下がみられなかった。このように、網羅的行動テストバッテリーを用いた解析によって各系統それぞれに多面的な表現型が認められたことから、発達障害モデル動物候補として有望であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は多面的病態評価システムを用いた発達障害モデルマウスの開発を行うことを目的としていた。発達障害モデルマウスの開発に関しては、遺伝変異マウスに行動解析テストバッテリーを用いた網羅的解析を実施したところ、多動、社会性の低下、学習障害など、人の発達障害患者と共通した表現型を示すマウス系統が見出された。これらの系統は有力な発達障害モデル候補と考えられる。モデルマウスの開発に関してはおおむね順調に研究は進展していると考えられる。 しかし、平成29年度中に購入予定であったテレメトリーシステムについて、購入予定のモデルについてメーカーの開発が遅れたため当初予定通りの購入が困難になった。そのため平成29年度の使用額の一部を次年度使用額として繰り越し、購入機器を新たに選定しなおすこととした。また、テレメトリーシステムを用いた測定についての予備実験を平成29年度中に行う予定であったが、機器の購入が遅れているため未実施である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、平成29年度に引き続き行動テストバッテリーを用いた発達障害モデル動物の開発を行う。また、本研究によって開発された新たな発達障害モデルマウス、および既存の精神疾患モデルマウスに対し、テレメトリーシステムを用いた生理指標の継時的スクリーニングを行い、行動的、生理学的表現型の解析と新たな生物学的マーカーの探索を行う予定である。平成29年度に購入予定であったテレメトリーシステムの購入が遅れているため、平成31年度に実施予定であった血液生化学検査を一部前倒しで実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中にテレメトリーシステム用機器を購入して予備的実験を行う計画であったが、購入を予定していたモデルの開発がメーカー側の都合で中断しており当初計画の通りに購入することが困難になった。そのため平成29年度の使用額の一部を次年度使用額として繰り越し、購入機器を新たに選定しなおすこととした。
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