昨年度までに得られていた,有限ユニタリ群の Weil 表現の幾何的構成を用いて,有限ユニタリ群の Weil 表現の新谷リフトを幾何的に構成することができた.これは Henniart-Wang によるシンプレクティック群に対する結果の類似を幾何学的に与えるものである. また,上記の有限ユニタリ群の Weil 表現の幾何的構成において,$\ell$ 進エタールコホモロジーの代わりに,mod $\ell$ エタールコホモロジーを考えることによって,有限ユニタリ群に対する mod $\ell$ Weil 表現を構成することができる.この有限ユニタリ群の mod $\ell$ Weil 表現がどのように分解するかを決定した. さらに,Frobenius 作用を用いることによって mod $\ell$ 係数の場合にも,シンプレクティック群に対する Howe 対応を特別な場合に幾何学的に実現することができた.この mod $\ell$ Howe 対応によって 直交群 $O_2$ の既約表現から得られる シンプレクティック群の表現がいつ既約になるかを調べた.結果としては,多くの場合には得られる表現が既約になるが,ある特別な場合には,既約ではないが直既約になることが分かった.これは $\ell$ 進係数の場合には見られない新しい現象であり,実際コホモロジーのレベルでも,今考えている場合に $\mathbb{Z}_{\ell}$ 係数のエタールコホモロジーから mod $\ell$ 係数のエタールコホモロジーへの自然な写像は,全射になっていないことが分かった.
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