研究課題/領域番号 |
17K18734
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | quantum groups / representation theory / free probability / quantum information |
研究実績の概要 |
この研究課題では量子群を量子情報理論に応用することを目指している。テキサス農工大のMichael Brannanとの共同研究がこの研究課題の主たる部分である。その共同研究の成果の第1論文はCommunications in Mathematical Physicsに掲載予定である。我々は、量子群のrapid decay propertyと呼ばれる性質が非ランダムで高度にエンタングルした空間や量子チャンネルを得るために必要なものであることを証明した。そして、O_n^ +のケースを完全に分類した。
並行して、自由確率論や量子群のテクニックを用いて量子情報理論の他の重要な問題(bound entanglementやPPT-square、entanglementの判定の問題など)の研究を現在進めている。研究代表者は愛知教育大学の佐久間紀佳と北海道大学の長谷部高広といくつかの部分的改良を得た。また、國立中山大学のHao-Wei Huangはこの自由確率論の技法を用いた量子情報理論研究に興味を示し、今後、共同研究を進めていく予定である。また北海道大学の植田優基とこれらの問題についてパリで議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に計画は進んでいる。この方向での進行中の論文は少なくとも2本ある。また研究代表者の博士課程学生Sapraは、アンリ・ポアンカレ研究所の博士研究員であるBardetと一緒にこの問題の一部にも取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は佐久間と長谷部との議論を継続する。また、自由確率論の研究を継続して行っている名古屋大学の植田好道と協力して、量子情報理論への応用を目指した自由確率論のための研究会等を開催しようと考えている。また、植田好道氏も量子群にも精通しているので、氏とともに今後共同研究を始められないか模索している。また、メインとなるBrannanとの共同研究では、2人の韓国人の研究者(ソウル国立大学のHun Hee LeeとSang-Gyun Youn)が加わって共同研究を進めている。この研究においては自由量子群から生成される量子チャンネルの研究を継続している。平成30年度は、容量と分解性の面を研究していく予定である。
最後に、テキサス農工大のPisierによって発案された、対称群の漸近表現のいくつかの点をよりよく理解するための重要な問題について、ポーランド科学アカデミーのPiotr Sniadyとあたらしい共同研究を開始する予定である。
研究代表者はこの研究課題を進めるために、平成30年5月と12月にOberwolfachを訪問、平成31年1月にノルウェーを訪問する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
to be filled
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